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2022-07-12

【相撲編集部が選ぶ名古屋場所3日目の一番】カド番の御嶽海、阿炎に敗れ黒星先行

叩く御嶽海につけこみ押し出した阿炎

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阿炎(押し出し)御嶽海

先場所に続いて2日目にして三役以上の勝ちっ放しが消えてしまった。これは132年ぶりのことだったのに、2場所連続とは近年の異常気象のようだ。
 
最近の傾向では平幕上位で勝ち越しても番付がほとんど上がらないということも挙げられる。原因の1つは大関が負けすぎること。今場所も御嶽海と正代がカド番で迎えた。
 
御嶽海は安定感には定評があったのだが、先場所は右肩を痛めて本来の相撲が取れず、6勝9敗に終わった。現在も右肩は治療中で、まともな稽古ができず、「取ってみないとわからない。ぶっつけです」と場所直前に語っていた。
 
1勝1敗で迎えた3日目は小結の阿炎と対戦。過去の対戦は突き押しに強い御嶽海が9勝3敗とリードしているが、不安があるだけに嫌な相手だ。
 
立ち合い、阿炎はモロ手突きで御嶽海の上体を起こす。いつもの御嶽海なら下からあてがうのだが、上から叩いて引く形になってしまった。そこにつけこんで前に出る阿炎。御嶽海は左に回り込んでしのごうとするが押し出されてしまった。
 
勝った阿炎は「下から攻めることができてよかったです。とにかく低く当たって足を出すイメージで取りました。視野を広げて自分の相撲が取れました」と語る。

「視野を広げる」とは、「昨日の相撲が視野が狭く、立ち合いの変化にビックリしてしまったので、相手のしてくることをいろいろ想定して、視野を広くするということです」と説明。
 
前日は宇良の立ち合い変化に棒立ちとなって押し出されたが、これで1横綱、1大関に勝利した阿炎。混戦模様の優勝争いに加わってきそうだ。
 
御嶽海は右肩を痛めている上に黒星先行と厳しい序盤戦となったが、それ以上に心配なのが正代。この日も霧馬山にあっさり送り出されてしまい3連敗となった。この2人が負け越すと、横綱と大関が1人ずつになってしまう。若隆景と大栄翔の両関脇もすでに2敗と、すぐに大関に上がれそうな力士は見当たらず、番付上において最大の危機を迎えている。

文=山口亜土

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