close

2022-07-21

【ボクシング】女子のパワーを見せつけろ! 9月に5大タイトルマッチ開催

雰囲気は和気あいあい。試合となると別。彼女たちの日常の姿はとても明るい

全ての画像を見る
 9月1日(木)、東京・後楽園ホールで世界タイトルマッチ2試合を含む、女子5大タイトルマッチなど、女子だけの興行『Queens Crest2022』が開催されることが21日、都内で発表され、会見に臨んだ9人(1人欠席)の選手たちがそれぞれ、試合に向けての意気込みなどを語った。

文&写真_本間 暁

 発表されたカードと各選手のコメントは次のとおり

普段と試合で別人になる鈴木(左)。世界王座復帰を誓う黒木
普段と試合で別人になる鈴木(左)。世界王座復帰を誓う黒木

☆WBO女子世界アトム級タイトルマッチ10回戦
チャンピオン
鈴木菜々江(30歳=シュウ)
NANAE SUZUKI
右ファイター
16戦11勝(1KO)4敗1分
vs.
元WBC女子世界ミニマム級チャンピオン
黒木 優子(31歳=YuKOフィットネス)
YUKO KUROKI
左ボクサーファイター
28戦19勝(9KO)7敗2分

「これが初防衛戦。黒木選手はすべてが上手でハートも強いけれど、頑張って勝ちたい。」(鈴木)

「久しぶりの世界戦(2018年9月以来)ですが、きっちり勝って、宮尾(綾香)さんと岩川さんの勝者と統一戦をしたい。鈴木選手はガンガン前に出てくる印象ですが、勝ちます」(黒木)

早くも次回の統一戦をアピールした宮尾
早くも次回での統一戦実現をアピールした宮尾

☆IBF女子世界アトム級タイトルマッチ10回戦
チャンピオン
宮尾 綾香(38歳=ワタナベ)
AYAKA MIYAO
右ボクサーファイター
27戦21勝(6KO)5敗1分
vs.
前WBO王者
岩川 美花(38歳=姫路木下)
MIKA IWAKAWA
左右スイッチボクサー
17戦10勝(3KO)6敗1分

「前回(王座決定戦で松田恵里に判定勝利)同様、普通にやって、普通に勝ちます。4団体王座統一が目標なので、メインの勝者と年末か年明けに戦いたい。岩川さんは身長が高いけれど、それにはそれなりの攻略法があります」

対照的なスタイルを持つ松田(左)と長井
対照的なスタイルを持つ松田(左)と長井

☆OPBF東洋太平洋女子アトム級タイトルマッチ8回戦
チャンピオン
松田 恵里(29歳=TEAM10COUNT)
ERI MATSUDA
左ボクサー
6戦4勝(1KO)1敗1分
vs.
元日本王者
長井 香織(32歳=真正)
KAORI NAGAI
右ボクサーファイター
13戦6勝(2KO)4敗3分

「長井さんはガードが堅くて、足も使える選手ですが、圧倒的な勝ち方をして、以前持っていて剥奪された(※理由不明とのこと)ベルトを取り戻したい」(松田)

「松田さんはアマチュアでもトップで雲の上の存在。基本に忠実なスタイルの選手。でも、ベルトをめっちゃほしいので、絶対に獲って神戸に持って帰ります」(長井)

先輩・晝田(左)、後輩・桺井。この日までは仲良し?
先輩・晝田(左)、後輩・桺井。この日までは仲良し?

☆日本女子フライ級王座決定戦6回戦
1位
晝田 瑞希(26歳=三迫)
MIZUKI HIRUTA
左ボクサー
2戦2勝
vs.
3位
桺井妃奈実(24歳=真正)
HINAMI YANAI
右ボクサーファイター
2戦2勝(1KO)

「桺井さんとはアマチュア時代にアジア選手権、世界選手権に一緒に出て、同室だったこともある。一緒にお化け屋敷に行ったこともあります(笑)。でも、試合になれば別。パンチがあって、近い距離でも強い。相撲を取ったこともあって(笑)、パワーも感じました。でも、私の夢はスーパースターになること。それに向けての第1歩です」(晝田)

「(晝田は)アマチュア時代にとてもお世話になった先輩。見た目も派手で、試合も派手ですが、今度の試合は私がド派手に勝ちます」(桺井)

身長差16cmの山中(左)と狩野
身長差16cmの山中(左)と狩野

☆WBOアジアパシフィック女子アトム級王座決定戦8回戦
日本2位
山中  菫(20歳=真正)
SUMIRE YAMANAKA
左ボクサーファイター
5戦5勝(1KO)
vs.
日本3位
狩野ほのか(27歳=世田谷オークラ)
HONOKA KANO
右ファイター
6戦4勝(2KO)2分

「初めてのタイトルマッチです。私は147cm、狩野さんは163cmと身長差がありますが、兄妹世界チャンピオン(兄は元WBO世界ミニマム級チャンピオン山中竜也)への第1歩。必ず勝ちます」(山中)

「山中さんは完璧な選手。私が勝ってるのは身長。でも、この日の中でいちばんいい試合をして勝ちます」(狩野)

スーパーファイトの舞台を目指せ!

2万人の大観衆が集まったテイラー対セラノ戦

2万人の大観衆が集まったテイラー対セラノ戦

 昨年開催された東京オリンピックで、フェザー級の金メダリストとなった入江聖奈(日本体育大学)、フライ級銅メダル獲得の並木月海(自衛隊体育学校)の活躍により、一躍注目度が高まった女子ボクシング。だが、アマチュア王者からプロの世界に飛び込んだ“先達”が、相応の評価を得ているとはいいがたい。世界5階級制覇王者の“レジェンド”藤岡奈穂子(竹原慎二&畑山隆則ボクサフィットネス)を筆頭に、素晴らしいボクサーは何人もいるが、“女子”というイメージが、わが国ではマイナスに作用してしまうのだ。。
「ボクシングをやっていると言っても、『キックとかRIZINに出るの?』なんて言われて悔しい想いをしている。プロの女子ボクシングは認知されていない」と、晝田は日常生活の中で、痛感することが多いのだという。髪の毛からコスチュームまで、全身をド派手なピンク色で纏う姿は「まずは目を惹くための仕掛け」。そうした上で、ボクシングをしっかりと見せたい、魅せられるものが私たちにはある、と彼女は断言する。
「女子ボクシングをみなさんの頭の中にしっかりと植えつけたい」。この想いは、報われているとは言えない国内女子ボクサー全員の願いでもある。

 4月、アメリカ・ニューヨークの“殿堂”マディソン・スクエアガーデンに、2万人の大観衆を集めて行われた女子のスーパーファイトがあった。世界ライト級4団体統一王者ケイティ・テイラー(アイルランド)対世界7階級制覇者アマンダ・セラノ(プエルトリコ)の1戦がそれだ。男子のタイトルマッチを差し置いて、当然のようにメインイベントで行われたという点、壮絶な戦いぶりに世界中が熱狂したこと、テイラーにいたってはファイトマネーが1億円超という、どれもが破格のスーパーファイトだった。
 アメリカ、イギリス、メキシコなど、ボクシング大国と呼ばれる国では、女子ボクシングへのリスペクトも男子同等だ。日本も真の大国に踏み出すためには、そこは大きな要素となる。
 決して夢物語などと思う必要はない。井上尚弥(大橋)がそれを実現し、“ただの”世界チャンピオンでは飽き足らないと大いに刺激を受ける男子選手が出てきた。そして女子でも「誰もが認める実力と評価を得る存在は、4団体統一。だから私はそこを目指します」(宮尾)と強い想いを抱く選手もいる。
 テイラー対セラノが立ったあの舞台を追い求めてほしい。

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事