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2022-07-23

【陸上】やり投・北口榛花が銅メダル獲得で女子フィールド種目日本人史上初のメダリストに。課題一つひとつの克服が偉業に結びつく

歴史的偉業を成し遂げた北口 写真/三尾 圭

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7月22日、オレゴン世界選手権8日目に行われた女子やり投決勝で、北口榛花(JAL)が63m27で3位に入り、同大会女子フィールド種目では日本人史上初のメダリストとなった。日本人女子選手のメダル獲得は2013年モスクワ大会マラソンで銅メダルを獲得した福士加代子(ワコール)以来のこととなる。

わずか2cm差のメダル争いを制した要因

オリンピック、世界選手権を通じて女子フィールド種目日本人初のメダル獲得という歴史的な快挙を、北口榛花(JAL)が成し遂げた。4位とはわずか2cm差、実にきわどいメダルだった。

北口の記録は最終6回目の63m27。4位の劉詩穎(中国)は63m25を4回目に、5位のM・リトル(オーストラリア)は63m22を1回目に投げていた。

6回目の試技と銅メダルが確定するまでを、北口は次のように振り返った。

「6回目も(内容的には)もの足りない投げで、銅メダルラインより手前に刺さったように見えて、ダメだったか、と思ったんです。『ダメだ、ダメだ』ってコーチにも言っていました。でも記録を見たら2番に上がっていて、え? え? と思って。それでも2cmと5cm差で、残りのメンバーは強い人たちだったので、絶対に(メダルは)無理だと思っていました。実際、アメリカの選手は強かったし(K・ウィンガーが6回目に64m05で2位に浮上)、中国の人の投てきもドキドキして見ていました。(中国選手に)抜かれなかったと分かったときは、ホッとした安心感が強くて、自然と涙が出ていました」

この種目の銅メダルと4位の過去最小差は12cm。オリンピックでは今回と同じ2cm差があったが、史上最も激しいメダル争いを北口が制したことになる。

不安のなかメダル獲得が確定し、感極まる北口 写真/三尾 圭
不安のなかメダル獲得が確定し、感極まる北口 写真/三尾 圭

それができたのは、1回目にそれなりの記録を投げ、後半にも(今回は6回目)記録を伸ばすことができたからだ。

1回目(前半)に記録を残すのは、3回しか投げられない国際大会の予選や、世界大会のベスト8に残るために必要なこと。2020年シーズンまでは前半の試技で良い記録を投げることができず、4回目にやっと納得のいく記録を出す試合が続いていた。

「東京五輪は(正規の試技前の)3回の練習試技を前半3回と思って全力で投げて課題を見つけて、1投目を4投目だと思って投げたら62m06まで飛んでくれました」

その課題は今季、100%クリアできるようになった。4月の木南記念は61m20、5月のゴールデングランプリは63m93(世界選手権前のシーズンベスト)と、1回目の試技でその日のベスト記録を投げた。

次の段階は、1回目の記録をさらに伸ばすことになる。6月11日の日本選手権は1回目が59m13とそこまで良くなかったが、3回目に62m25まで記録を伸ばした。3日後のチェコでの試合では1回目と6回目に61m97、4日後のダイヤモンドリーグ・パリ大会では1回目の61m91から3回目の63m13に伸ばした。

今回の決勝では1回目に62m07を投げたが、2回目ファウル、3回目55m78、4回目61m27、5回目ファウルと続いた。今シーズンのパターンから、記録を伸ばすのは難しいと思われたが、6回目に63m27と伸ばして見せた。

「今日も1回目の62m台で安心できたのですが、安心しすぎて2~3投目がダメでした。5投目はグリップがうまくいかず、穂先(やりの先端)が下を向いて55mくらいでした。普通に投げれば記録はもっと出るでしょ、という内容でした」

今シーズンはやりの先端が意図した方向に向かないことが多く、課題として取り組んできた。ダイヤモンドリーグ・パリ大会後のインタビューでは「練習試技の3回を入れて、9本のうち必ず2~3本は良い投げ出しができています。良い方法を見つけたいと思っていますが、試合中に投げの最後の部分を意識し過ぎるより、もっと大きな部分がしっかりできれば、良い投げ出しができるのだと思います」と話していた。

細長い形状のやりを扱うのは、世界トップ選手でも簡単なことではない。100%コントロールはできなくても、確率を上げることで6回の試技の中で良いものを出すことができる。6回目も本人としては「もの足りない」投げだったが、5回目に比べれば良い方向で投げ出すことができ、1m以上の記録の伸びにつながった。

「高校の頃は6回目に強かったんです。その頃の気持ちを思い出して、6投目に強い子だと思って投げました(笑)」

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