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2022-07-30

【ボクシング】「世界に返り咲いて日本人対決をしたい」──亀田和毅が元ラテン&カリブ王者エンカルナシオンを4回KO

写真は昨年12月、メキシコでの勝利後。愛息・望有(のあ)くんも、5月で1歳になった

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 3度目の世界王座獲得へ──。30日、兵庫県・神戸市立中央体育館で行われたフェザー級10回戦は、元WBOバンタム級&WBC暫定スーパーバンタム級王者で、現WBAスーパーバンタム級2位の亀田和毅(31歳=TRY BOX 平成西山)が、元WBAカリブ&WBCラテンアメリカ同級王者のウイリアム・エンカルナシオン(34歳=ドミニカ共和国)を4回2分35秒KO。ジム移籍初戦を飾るとともに、インパクトある勝利を遂げた。

「モンスター井上尚弥選手を迎えうつと話していましたよね?」。インタビュアーに振られた亀田は、その名前こそ口にしなかったものの、「日本人対決、いつでもOKです。世界、そして日本人対決は必ず実現します」と笑顔で会場に呼びかけた。試合の出来栄えへの満足度もうかがわせた。

 立ち上がりから、持ち前のスピードボクシングが冴えた。速射砲のように放つ左ジャブは、ダブル、トリプルと必ず複数で。ゆったりと距離を縮めてくるエンカルナシオンの間合いを、左右へのステップ、サークリングで切っていく。これもいつもの“和毅スタイル”なのだが、構えたヒジの絞り方が、これまでとは若干違うように感じた。

 距離ができたところで、時折自ら修正を加える素振りも見せた。グッと両ヒジを絞る。その構えから、左ジャブ、右ストレートを打ち込んでいく。
 これまでの和毅は、やや両ヒジが開き気味だったが、これを絞って放つストレートは、より最短距離を射抜き、拳への力も乗る。これらストレートブローでエンカルナシオンの堅いガード上を敢えて叩いて意識を集中させ、空いたボディを狙う意図が見えた。

 2回、エンカルナシオンをおびき寄せ、その入り際に左ボディカウンターを決めると、続く3回には左を上下に散らしてプレッシャーをかけ、一転して前進力を強める。そこで左フックをエンカルナシオンの右サイドボディに連打。ドミニカ人は、たまらずキャンバスにヒザを着いた。
 さらに立ち上がってきたエンカルナシオンに、左右6連打から、いったんタメをつくってさらに右から左ショートフック。アゴを捉えて2度目のダウンを奪う。
 この回はゴングに逃れられたが、4回、左フック8連打をサイドに集め、ガードが開いたところで軌道を変えてみぞおちを払う。ドッと沈んだエンカルナシオンは、首を振りながら痛みを堪え、そのままテンカウントが数えられた。

 今までもハンドスピードは一流だったが、そこに威力も加わって、理詰めの攻撃をより強固にした。17歳で、メキシコでプロデビューした亀田も31歳。最後の大輪を、思う存分やり尽くして咲かせたい気持ちが強いのだろう。心機一転、ジムを移籍して三度目の世界王座へ──。狙うはWBAスーパー&IBF王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)か。王座を奪取して、近い将来クラスを上げてくる井上尚弥(大橋)を本気で迎えうつ覚悟だ。42戦39勝(21KO)3敗。エンカルナシオンの戦績は23戦19勝(15KO)4敗。

文_本間 暁(U-NEXT視聴)
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