世界のプロボクシングに新たにエントリーされたニュースター候補を紹介するボクシング・マガジンの連載『ピックアップ・リーディング・ファイター』。6月号はWBA・IBF世界スーパーウェルター級チャンピオンのジェイソン・ロサリオ(ドミニカ共和国)だ。
上写真=ウィリアムスを攻めくずしてアップセットを起こしたロサリオ(右)
スーパーボクサーの履歴の典型を歩んできた。貧困とそれに伴うバイオレンス。カリブに浮かぶドミニカ共和国の首都サントドミンゴに生まれ育ったロサリオもそういう過酷な環境の中で少年時代を送った。少年に芽生えたのは、力を身につけなければ、何者にも立ち向かえない、という激しい思いだ。そして、その情熱はリングの中に注ぎ込まれるようになる。
かける思いは深くても、ボクシングで成功するのはたやすいことではない。地元での中堅ファイトでキャリアを蓄え、勇躍挑んだアメリカ・デビュー戦は無念のTKO負け。その後も下積みを強いられた。
そして何とかつかんだ世界王座挑戦のチャンス。相手は正確な技巧と、歯切れのいい攻撃でトップスターの仲間入り寸前のチャンピオン、ジュリアン・ウィリアムス。しかも、戦いの場はウィリアムスの本拠地フィラデルフィア。予想は1対30で絶対不利だった。ロサリオはここで一世一代のファイトを見せる。難敵を打ちのめし、TKOに追い込むのだ。
今回はそのロサリオのライフストーリーをニューヨーク在住のスポーツ・ライター、杉浦大介氏の筆に委ねた。
写真◎ゲッティ イメージズ
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