close

2020-05-15

いま、何してますか? 国内トップボクサー10人の現在

新型コロナウイルスは、微妙な推移を経ながらも、依然、世界中に脅威を撒き散らしている。長引く“自粛状態”。不透明な未来。考えれば考えるほど不安は増大するが、彼らは決してフリーズしない。強靭なメンタルを持つトップボクサーたちは、いまこの瞬間、そして日々をどう過ごしているのか──。5月上旬時点での彼らを電話で直撃。

上写真=(上の段左から)京口、寺地、木村、中谷、井岡。(下の段左から)田中、井上尚弥、井上拓真、岩佐、伊藤

 当初の予定では、この5月に3度目の防衛戦が行われるはずだったが、すべて白紙の状態に。「走って、ジムも自粛状態なので、やれることをやって……。満足な練習はできていないですけど、プラスに考えたら、いろいろ考えられる時期だと思うんです」。WBA世界ライトフライ級スーパーチャンピオン京口紘人(26歳=ワタナベ)は、様々な手段で、多芸ぶりを発揮している。

「時間があまるし、ヒマで」と苦笑いするWBC世界ライトフライ級チャンピオン寺地拳四朗(28歳=BMB)は、一方で「これで走れへんかったらストレスがたまるとは思うけど、ランニングがあるから、まだマシ」という。持てあましがちな時間のなかで実感していることがある。

 人生、何が起こるかわからない。お金のことで、想像を絶する体験もした。自分が一獲千金よろしく、世界チャンピオンを射止めたことだって、そのひとつ。元WBO世界フライ級チャンピオン木村翔(31歳=花形)は、いま、この状況にあっても決しておたおたしない。

 世界戦決定の喜びから一転、「ナイーブな気持ちになった」というWBO世界フライ級3位・中谷潤人(22歳=M.T)だが、切り替えは早かった。「悩みはすべてのボクサーと同じ。ここで踏ん張れるかどうかで、またひとつ変わってくると思う」。

 毎日、近所を走っている。およそ1時間、10㎞くらい。そして自宅でも約1時間、腕立て伏せや腹筋など、リビングでできる範囲のトレーニングをこなす。「体力の最低限だけは守る。そういう気持ちですね」。4階級制覇を達成したWBO世界スーパーフライ級チャンピオン井岡一翔(31歳=DANGAN AOKI)は、普段とほぼ変わりない生活をしているという。

 スーパーフライ級で世界4階級制覇をもくろむ田中恒成(24歳=畑中)は、なにかと制限される生活にもかかわらず、「オレ、陰キャラなので(笑)。夜、遊びに行くことがなくなっただけです(笑)」と不自由さはさほど感じていない様子。ジムワークもなく、必然的に在宅時間が長くなっているが、これまでの考え方を改めようとしている。

 全世界待望のラスベガス決戦が延期となったWBAスーパー&IBF世界バンタム級チャンピオン井上尚弥(27歳=大橋)は、『ボクシング・マガジン5月号』の企画を大いに堪能してくれているのだという。さらに、別の企画をきっかけに、“あること”にハマっているのだそうだ。

 兄・尚弥、従兄の浩樹と3人そろっての練習はもちろんだが、それ以外の外出は「実家に行って、みんなでご飯を食べたり、公園に行って、甥っ子と遊んだりする程度」という元WBC世界バンタム級暫定チャンピオン井上拓真(24歳=大橋)。息子ふたりのために尽力する父・真吾トレーナーへの“感謝”とは……。

「帰ってきたら、洗って、アルコール消毒して、とにかく外に出ない!」。シンプル・イズ・ベストの行動を続けているIBF世界スーパーバンタム級暫定チャンピオン岩佐亮佑(30歳=セレス)は、自粛生活の中で“静”と“動”、ふたつのことに没頭しているのだという。

 先の見えない状況が続く中。元WBO世界スーパーフェザー級チャンピオン伊藤雅雪(29歳=横浜光)は、選手全体のモチベーションを危惧する。「生活を守るために、強制引退のようになる選手もいるんじゃないですか? このままでは経済も死んでしまうし、それこそボクシングがなくなっちゃう……」。

 十人十色。自粛生活の中で、彼らは当然、様々なことを考え、できるかぎりのことをし、普段できない新たなことを見出す。さらに、WBA世界ミドル級チャンピオン村田諒太(34歳=帝拳)は、東京オリンピックを目指す“後輩たち”へオンライン講座でアドバイスを贈った。
 今日15日発売の『ボクシング・マガジン6月号』で、彼ら11人をさらに詳報しています。
ぜひご覧ください。

おすすめ記事

ボクシング・マガジン 2020年6月号

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事