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2022-08-16

【陸上】女子円盤投で全国3連覇の友利晟弓「高校生のうちに60mを投げたい」

ケガを乗り越え、高校全国3連覇を成し遂げた友利(写真/中野英聡)

8月3日から7日まで5日間、徳島県鳴門市の大塚スポーツパークポカリスエットスタジアムで行われた全国高校総体(インターハイ)陸上競技。大会3日目の5日に行われた女子円盤投は友利晟弓(那覇西高3年・沖縄)が46m46で制し、2020年のインターハイ代替大会・全国高校大会、昨年の福井インターハイに続いて、全国3連覇を果たした。

全国チャンピオンとして挑んだ徳島IH
「同級生との戦いには絶対に負けられない」


「信じられない。今まで感じたことのない感覚です」

友利が競技を終えて、感慨深そうに言葉を漏らした。

友利がインターハイ3連覇を目標に掲げたのは、中学生のとき。2人の兄の影響で小学生のころから円盤投に親しみ、豊見城伊良波中(沖縄)1年のときにジュニアオリンピックで2位に入り、中1歴代最高記録を出すなど、当初からトップスロワーだった。中2の同大会で女子円盤投を制し、この年代でも学年別最高記録を樹立。そして連覇を狙った翌19年のジュニアオリンピックが、台風の影響で中止になった。

「中学3年のジュニアオリンピックで連覇を実現できなかったときから、高校ではインターハイ3連覇をしたいと思っていました」

しかし、那覇西高1年の2020年夏は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、史上初めてインターハイが中止になった。それでも代替試合として10月に開催された全国高校大会で、1年生ながら44m04で優勝し、全国3連覇という目標をつないだ。

翌年の福井インターハイで全国連覇達成。3連覇への挑戦権を自ら勝ち取って、今大会に臨んだのだった。
「インターハイだけは、譲れなかった」

昨秋、左ヒザの半月板損傷と診断され、12月には手術に踏み切った。本格的に投げの練習ができるようになったのはシーズン直前の3月。「インターハイに行けるのか、という不安もあった」という。

6月のU20日本選手権では、同級生の桑島弥々(咲くやこの花高3年・大阪)に敗れて3位となり、翌週の南九州大会では県内のライバル、外間結希乃(与勝高3年・沖縄)に敗れて2位だった。記録面でも、高2でマークした46m40という記録になかなか到達しないまま、3連覇が懸かるインターハイを迎えた。

「不安はあったけど、インターハイに合わせると決めていました」

インターハイ本番。決勝の1投目から45m16とシーズンベストが出た。そして2投目。

「振り切りの感覚が違いました。円盤をきれいに送り出せて、飛んでいく円盤を見て47mに届いたかと思いました」

久しぶりに手応えのある、会心の一投だった。約9カ月ぶりとなる自己ベストの46m46をマーク。以降、この記録を越える選手は現れず、友利の3連覇が決まったのだった。

「先輩方がいるなかで勝ってきたので、同級生との戦いには絶対に負けられないという、強い気持ちで自分に集中していました。大きな舞台で自己ベストを出せて、3連覇が達成できて、本当にうれしいです」

友利のはつらつとした笑顔が、夏空に映えていた。

 「高校のうちに60mを投げたい」

「高校記録(54m00)」と言わないところが、スケールの大きな友利らしくていい。きっと自身のイメージには、そこに到達する放物線が見えているのだろう。

文/新甫條利子 写真/中野英聡

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