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2022-09-03

鈴木秀樹視点で見る「N-1」優勝決定戦。「殺すぞ」発言の前にあった6年前の夏の有明

マット界随一の偏屈者、鈴木秀樹がNOAHシングルリーグ戦の頂点に挑む。

現在開催中のシングルリーグ戦「N-1 VICTORY2022」は9月3日、エディオンアリーナ大阪で優勝決定戦が開催される。鈴木は、GHCヘビー級王者・拳王、“野獣”藤田和之、ZERO1・田中将斗らがエントリーしたAブロックを5勝1敗1分けの1位突破。5勝2敗でBブロックを突破した清宮海斗を相手に優勝を懸けて激突する。
あからさまに清宮を意識しながらウォーミングアップする鈴木(写真は2018年3月)
清宮はNOAH生え抜きの26歳。来春引退する“天才”武藤敬司から必殺技の数々を伝授された期待のエースがNー1初優勝を果たすか否か。NOAHファンの多くがその主語を“清宮”に置いているかもしれない。だが――偏屈者視点で見てもNOAHの若きエースとの初シングルは興味深い一戦になる。

振り返れば6年前、夏の盛りのディファ有明だった。

“邪道”大仁田厚が主役を張るインディー団体「ファイアープロレス」が2016年8月26に旗揚げ。同年2月、IGFを離脱した藤田、ケンドー・カシン、将軍岡本らとはぐれIGF軍団を結成した鈴木はファイヤープロレス旗揚げ戦に参戦し、大仁田やチャボ・ゲレロらとのカオス極まりない8人タッグ戦に臨んだ。

会場入りしてしばらくした時だった。背の高い、短髪の若者が鈴木に挨拶をしてきた。おそらく通り、型通りの言葉だったのだろう、その時何を言われたか詳細には覚えていない。だが、目つきの鋭さだけは強く印象に残った。会場にいたNOAHの西永秀一レフェリーにその話をすると、「たぶん清宮ですね」。NOAHと接点があったわけでもないのに、鈴木のなかに清宮海斗というデビューしたばかりの若者が強く残った。

週刊プロレスモバイルで鈴木は「じつはエクレアに飽きました」というコラムを2017年から2018年にかけて執筆。そこでもしばしば清宮に触れていた。2018年2月6日更新分では「清宮海斗に興味アリ」という直球過ぎるタイトルのコラムを更新。同年3月6日更新分では「清宮選手と試合したいという気持ちはあります」「パッと見た瞬間にコイツと試合がしたいと思ったからやりたいんです」と偏屈者にしては珍しくストレートな思いを綴っていた。
かつて鈴木が週プロモバイルで執筆していたコラム「じつはエクレアに飽きました」第23回
「お前な、俺に手加減するな。殺すぞ」。鈴木がNOAH参戦を果たした2019年5月の後楽園ホール大会で当時GHCヘビー級のベルトを保持していた清宮とタッグながら初対決した際、物騒にもほどがある怒りのコメントを出した裏には、そんな期待感があったにもかかわらず……という思いがあったに違いない。

フリーとして活動する鈴木にとって一戦一戦が生き残りをかけた勝負。ましてシングルリーグ戦優勝がかかった大一番で、相手は清宮。普段は面倒くさいにもほどがある偏屈者が珍しくシリアスに臨む裏には、8年越しのドラマがあるのかもしれない。偏屈者視点で見る「N-1 VICTORY」優勝決定戦はどんな結末を迎えるのか。9月3日、方舟ナニワのビッグマッチでその答えが出る。
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