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2022-09-09

【NFL】2022NFL開幕 パワーランク1位のビルズが底力、スーパーボウル王者ラムズを撃破

試合後、インタビューに答えるビルズのQBアレンとOLBミラー=photo by Getty Images

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アメリカンフットボールの世界最高峰、米プロフットボール・NFLの2022年シーズンが、現地9月8日夜(日本時間9日午前)、カリフォルニア州ロサンゼルスで開幕した。ロサンゼルス・ラムズとバッファロー・ビルズが対戦。ビルズが後半に底力を発揮して31-10で快勝した。(写真はすべて Getty Images)


NFL 2022 Week 1 開幕戦
ビルズ  7   3  7  14  31
ラムズ  0  10  0     0  10
(2022年9月8日SoFiスタジアム)


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ビルズWRデービスが先制TD=photo by Getty Images

 前半、ビルズは、ファーストドライブでQBジョシュ・アレンが先制のタッチダウン(TD)パスをWRガブリエル・デービスに決めるなど、優勢に試合を進めた。しかし、ラムズディフェンスが3回のターンオーバーを奪って、ビルズオフェンスを断ち切り、前半最後のプレーでは、Kマット・ゲイの57ヤードFGで10-10と同点にして、折り返した。

 ビルズは後半、ラムズのファーストシリーズを3&アウトで止めると、RBデビン・シングレタリーのラン、さらにQBアレンのキープで攻め込んだ。仕上げはアレンがWRアイザイア・マッケンジーにクイックな7ヤードスラントパスでTDを決め、勝ち越した。

 ビルズは次のドライブでも、アレンのスクランブルや、RBザック・モスのラン、さらにアレンのパスでゴール前へ。最後はアレンがキープして右に流れながらTD。リードを広げた。ラムズのLBボビー・ワグナーのタックルも実らなかった。

 14点差とされたラムズだが、QBマシュー・スタフォードが投げたパスをWRクーパー・カップが弾き、インターセプトされてしまう。スタフォードにはビルズDLのプレッシャーがかかっていたため、コントロールが狂ったのだった。

 ビルズはこの場面で、アレンがエースWRステフォン・ディグスに53ヤードのTDパスを決めた。NFL随一のマンツーマンカバー能力を持つラムズCBジェイレン・ラムジーをスタートで抜き去り、最後はエンドゾーン前で転倒しながらもしっかりとレシーブした。

 ラムズは必死の反撃を試みたが、QBスタフォードのパスは、ビルズDLブギー・ベイシャムにパスをはたかれ、そのままインターセプトされた。この段階でほぼ勝敗は決した。

 オフェンスのトータルヤードはビルズ413ヤード、ラムズ243ヤードと差がついた。特に、後半、バランスアタックに舵を切ったビルズは、試合を通じたラン121ヤードとなったのに対して、ラムズはラン52ヤードだった。
ビルズQBアレンのロングパスをキャッチするWRディグス=photo by Getty Images

QBアレン、悪い流れを後半に持ち越さず

 前シーズンのスーパーボウル王者、ラムズと、現在のNFLパワーランク1位、ビルズの対戦は予想外の大差となった。

 序盤からビルズが快調だった。ファーストドライブではQBアレンがリズムよくクイックなショートパスを決めて攻め込むと、ブーツレッグからディフェンスの頭越しに
技ありのTDパスを余裕をもって決めた。しかしその後は、味方のミスによる2ターンオーバー(記録上は1インターセプト、1ファンブルロスト)で流れをつかめず。

 第2クオーターには、アクロスルートを走ったWRジェミソン・クラウダ―に、「ボールを置きに行って」ラムズCBトロイ・ヒルにインターセプトを奪われた。

 この1つ前のプレーでアレンは、ラムズCBラムジーにマンツーマンされていたWRディグスに、完璧なタイミングのバックショルダーパスをヒットしており、「好調だからこそ丁寧に」という思いがあったのかもしれないが、それが裏目に出た。

 フットボール的には優位に立ちながら、アレンが2インターセプトを喫し、得点は10-10で終えた前半。ビルズにとっては嫌な雰囲気だったろう。

 しかしアレンは成長していた。悪い流れを後半に持ち越さず、RBシングレタリーやモス、さらに自らのキーパーやスクランブルで、オフェンスのリズムを作った。

 アレンはパス26/31で297ヤード、3TD(2INT)、ランでもチームトップの10キャリー56ヤード。悲願のスーパーボウル制覇に向けて上々の滑り出しとなった。

 唯一、サイドライン、そしてビルズファンが気をもんだのは、2ポゼッション、3ポゼッション差となっても自らボールを持って走り、しかもタックルされても頑張ってしまうプレースタイルだろう。

 スーパーボウルに勝つなら、最低でも、この後19試合を戦わなければならない。今のビルズでは、余人をもって代えがたい存在となっているアレンだけに、自重することも覚えなければならない。

ビルズQBアレンはランでもチームトップの成績を見せた=photo by Getty Images

移籍のミラーがビルズ守備陣をけん引

 王者ラムズのショーン・マクベイHCは、2016年の49ers戦以来の開幕戦黒星となった。敗因ははっきりしている。ビルズのアレンを止められなかったこと。そして昨シーズン一緒にスーパーボウルを制覇したOLBボン・ミラーが、このオフにビルズに加入したことだ。

 ミラーは2QBサック。1本目はブルラッシュで、ラムズOLジョセフ・ノートブームを一気に押し込む「力」のサック。2本目は、OLの腕の下を素早くかいくぐった、「スピードと技」のサックだった。

 身体能力だけでなく技術やインサイドワークでも傑出した存在のミラー。試合後のインタビューでアレンが「ディフェンスのリーダー」と称賛した通り、若いタレントが揃うビルズDL陣をけん引した。

 ミラーに元気づけられたビルズディフェンスは7サック、3インターセプトと大活躍した。

ラムズQBスタフォードをサックするビルズOLBミラー=photo by Getty Images

カップに捕球後のランを許さず

 スーパーボウルMVP のラムズWRクーパー・カップは、確かに存在感を示した。第2クオーターにはエンドゾーン奥でパスレシーブ、バレリーナのようなつま先のコントロールでラムズ唯一のTDとしたが、見せ場はそこだけだった。パスに対して、主にゾーンカバーを敷いたビルズディフェンスのカップ対策は、「捕らせてもその場でタックルする」こと。

 昨年はNFLトップ、800ヤード以上のヤードアフターキャッチを記録したカップだが、この日は捕球するとすぐに、ビルズの選手がしがみつくようにタックルして離さなず。思うようなパフォーマンスとはならなかった。

 ラムズQBのスタフォードは、右肘の痛みからプレシーズンゲームを全休。おそらく練習の絶対量が足りていないのだろう。今季加入のWRアレン・ロビンソンには1本しかパスを決められず、TEタイラー・ヒグビーに投げたパスもコントロールが乱れていた。

 ラムズの次戦は、昨シーズンのチームサックが18とNFL最下位だったファルコンズ。ここでスタフォードがパスの調子を取り戻せないようだと、今季のラムズには暗雲が立ち込めてくるかもしれない。

3INTを喫したラムズQBスタフォード=photo by Getty Images

【小座野容斉】

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