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2022-09-11

【相撲編集部が選ぶ秋場所初日の一番】先場所初優勝の逸ノ城、今場所も立ち合いに迷いなし

合い口のいい貴景勝を押し出して圧倒した逸ノ城

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逸ノ城(押し出し)貴景勝

いよいよ大相撲秋場所が始まった。小結の阿炎は右ヒジと左足のケガで休場となってしまったが、阿炎を除いても三役9人と、番付上からも上位陣の実力伯仲度合いがうかがえる場所。混戦の予感が漂い、目が離せない場所になる。
 
その実力者ぞろいの上位陣から果たして誰が抜け出してくるのかを占う意味で、初日の注目はやはり先場所初の賜盃を抱いた逸ノ城と、先場所11勝と復調気配を見せた貴景勝の取組だった。この一年の対戦成績では逸ノ城の3勝1敗だが、1敗は逸ノ城がマゲつかみの反則を取られたもので、実質的にはこのところ貴景勝には負けていないといっていい。
 
その合い口の良さも手伝ったのだろうか、初日の硬さも見られず、逸ノ城は大関を圧倒した。
 
立ち合いは先場所同様、左足から踏み込んでの浅い左上手狙い。これは届かなかったが、しかし圧力は十分で、これで低さが持ち味の貴景勝の上体をすぐ起こすことに成功した。当たってのイナシで何とか相手に隙を作らせたかった貴景勝は、引きを見せた後、左に回ってイナシたが、相手に圧力がかかっていなかったため効果なし。逸ノ城が難なくついていってそのまま押し出した。
 
先場所、踏み込んでサッと左の前ミツをつかむ立ち合いを会得した感のある逸ノ城が、今場所もそれを継続できるかどうかが一番の見どころだったが、そこに迷いは一切なかった。

「今まではいろいろ考えて、張って差したりとかもあったんですけど、今回は思い切り当たっていこうと。廻しが取れなくても、圧力掛けて前に出られてよかったです」

と逸ノ城。捕まえるために多少保険をかけることになる張り差しでなく、浅い上手狙いで体をぶつけていったところに、先場所で得た自信がうかがえる。今場所は序盤での横綱・大関戦が多い小結という地位だが、序盤戦をいい内容と星勘定で乗り切れば、今場所も優勝争いに絡む可能性は十分あると見た。

このほかでは、先場所7勝3敗から休場することになった琴ノ若が若隆景を真っ向から押し出し。霧馬山が照ノ富士に食い下がって善戦した。まず序盤は、元気な逸ノ城、琴ノ若、霧馬山の3人と横綱・大関陣の対戦の行方が、場所の趨勢を決めていく注目ポイントになってきそうだ。

文=藤本泰祐

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