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2022-09-12

【日本インカレ】「日本を引っ張っていける存在になりたい」青野朱李(山梨学院大4年)が女子スプリント二冠

100m・200mの二冠を達成した青野。200mは12年ぶりの大会新記録だった(写真/早浪章弘)

9月9~11日、たけびしスタジアム京都で開催された日本インカレ。大会最終日、青野朱李(山梨学院大4年)が女子200mを制し、100mとの二冠を達成。日本歴代7位タイに名を連ねると同時に、12年ぶりに大会記録を更新した。

すべてを懸けて準備してきた

青野朱李(山梨学院大4年)が最後の日本インカレで輝きを取り戻した。女子100mを11秒64(+0.4)で制すると、得意の200mは日本歴代7位タイ、学生歴代2位タイ、大会新の23秒44(-0.2)で快勝。女子唯一の個人二冠を達成し、瞳に涙をためながら「今までつらいことがあったけれど、しっかり勝ち切って、支えてくれた方々に恩返しができて、本当にうれしいです」と感激にひたった。

青野は「このインカレにすべてを懸けて準備してきました」と言い、100m&200mで自己新二冠を目標に掲げていた。100mは石堂陽奈(環太平洋大2年)に先行されたが、中盤以降、接戦に持ち込んでフィニッシュ。青野1着が告げられると、手で顔を覆って喜びをかみ締めた。自己記録11秒53には届かなかったが、同日の200m予選後は「余裕を持って24秒1台で走れたのは初めて。ベストを出せると確信しています」と気持ちを切り替えていた。

予選翌日、準決勝は24秒01(-0.9)で組1着だったが、「思った以上に力を使った」という感覚が残った。それでも決勝はコーナー出口で抜け出すと、そのまま快走。2位の井戸アビゲイル風果(甲南大3年)らを引き離して、大会新Vを飾った。「コーナーから抜け出すところは私の持ち味。200mより苦手な100mで勝てたことも自信にしました」と青野。強気を貫いた二冠達成だった。


200m決勝、コーナー出口で抜け出した青野は、他を引き離してフィニッシュ(写真/中野英聡)

2種目で高3以来の自己ベスト

山形中央高2年時にインターハイ200mで優勝した青野。3年時のインターハイは200m2位。大学1年時は親元を離れた自炊生活など環境が変化して、伸び悩んだ。2・3年時はコロナ禍にあり、「どこに目標を向けたらいいのか、分からなかった」と言い、精神的にも落ち込んだ。

それでも青野は希望を捨てず、昨年の日本インカレは100m8位&200m4位。筋力アップにも取り組み、「走りに大きさが出てきて、力を加えなくても前に進む走りができるようになったと思います」。これで今季は100mも200mも、高3以来の自己ベストをマークしたことになり、“New青野”を見せることができた。

「足りないところはたくさんありますが、日本を引っ張っていける存在になりたいです」と夢を広げる青野。2019年の世界リレー以来となる日本代表へ。約束されたとまでは言えないが、代表レベルに近づくきっかけをつかんだことは確かだ。


最終学年で日本インカレの表彰台、それも中央に2度立った(写真/早浪章弘)

文/中尾義理 写真/中野英聡、早浪章弘

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