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2022-09-10

【日本インカレ】髙良彩花(筑波大4年)が女子走幅跳で35年ぶりの大会新。これが世界へのスタートライン

日本インカレ女子走幅跳で髙良が35年ぶりに大会記録を更新した(写真/中野英聡)

9月9~11日、たけびしスタジアム京都で開催中の日本インカレ。大会初日の9日、女子走幅跳でついに歴史が動いた。

 「今日は楽しい」と思えた

 女子走幅跳の4回目、髙良彩花(筑波大4年)が力強く踏み切った。6m50(+0.7)、日本歴代9位、35年ぶりの大会新。何より、園田学園高(兵庫)3年時以来の自己ベスト。この4年間、自己記録だった6m44の高校記録・U20日本記録に呪縛され、時に「なんであんな記録を跳んじゃったんだろう」と考えたこともあった。苦しくて、悔しくて。それでも、最後のインカレは楽しくて、うれしくて、笑顔で飛翔した。

 この日の競技前、ピットに立った髙良はいつもと違う感覚に包まれたという。「何か、跳べるかも」。チームメイトらが拍手で応援するスタンドを見上げ、「今日は楽しい」と思えた。

 1回目6m24(+1.0)。3回目6m37(+1.9)。そして4回目、記録が告げられると、両手を突き上げて喜んだ。「インカレという舞台で自己ベストで勝つのは理想中の理想。応援してくれるみんなの前で跳べたことがすごくうれしいです」と達成感をかみ締めた。

 意識したのは、助走6歩目まで。特に4回目はしっかり押し込み、「7、8、9、10歩目と体を上げて、勢いのまま踏み切れました。やるべきことがちゃんとできて跳べたという感覚でした」と振り返る。


今年度、筑波大主将を務める髙良。仲間たちの応援を力に変え、チームを勢いづけるタイトルをもぎとった(写真/早浪章弘)

励ましてくれたコーチや仲間


 高校時代、髙良はインターハイ3連覇&日本選手権2連覇を成し遂げ、記録も高校タイ・U20日本タイをマークした。それがこんなにも長く重くのしかかるとは想像していなかっただろう。

 筑波大2年時に三たび日本選手権を制すなど申し分ない成績を残してきたが、「記録が出ないのは悔しくて、チームメイトが自己記録を跳ぶのを見て嫉妬したこともありました。秦さん(澄美鈴、シバタ工業)にはどんどん離され、それも悔しくて」と髙良。もう跳べないのかもとふさぎ込んだ日々に、「跳べる、跳べる」と励ましてくれたコーチや仲間がいた。「本当にまわりに支えられてきたんだなと思います」と感謝がこみ上げた。

 大学卒業後は実業団で競技を続ける予定。「(6m)50を超えないと、次の世界に届かないと思っていました。オリンピックや世界選手権など、やっとそういうところを目指すと言えるスタートラインに立てたのかなと思います」

 あきらめないで、前を向き続ければ、きっと、霧は晴れる。そう信じて、高良はまた、跳ぶ。


髙良は高校3年時の自己記録(6m44・高校タイ記録)を4年ぶりに更新。2位には藤田和音(日女体大院2年)、3位には下田有希(日体大3年)が入った(写真/早浪章弘)

文/中尾義理 写真/中野英聡、早浪章弘

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