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2022-09-10

【日本インカレ】女子400mでニューヒロイン誕生。森山静穂(福岡大3年)が自己新で頂点へ

森山は4月の日本学生個人選手権に続き、学生全国タイトルを獲得(写真/早浪章弘)

9月9~11日、たけびしスタジアム京都で開催中の日本インカレ。雌伏の2年間を経て、今季飛躍を遂げた森山静穂(福岡大3年)が女子400mで初優勝を飾った。

 競技に取り組む意識の変化

女子400mでニューヒロインが誕生した。昨年まで2連覇中の髙島咲季(青山学院大3年)らを抑え、森山静穂(福岡大3年)が53秒62の自己新で頂点に立った。

「今シーズンはずっと、後半の切り替えを意識してきました。今回も200mから加速していって、粘ることを目標に走りました。自分が決めたポイントから、しっかり切り替えられたことが良かったのだと思います」

 自身が追い求めてきたレース展開で勝利をつかみ、森山は満足そうな表情を見せた。終盤は安達茉鈴(園田学園女子大2年)の追撃を受け、「負けたかもしれないと焦りました」と苦笑したが、0秒03差で逃げ切った。

 宮崎商高(宮崎)3年時には、インターハイでは200mと400mで準決勝止まりだったが、国体の400mで8位に入賞している。福岡大に入学後、1・2年時には日本インカレで予選落ち。高校時代の自己記録である55秒65を更新できず、シーズンベストは57秒台にとどまっていた。

 それが、今季からは4×100mRのメンバーにも入ってスピードアップ。「これまでは、練習に対していかに頑張るかを考えていましたが、今はデータ解析をしながら細かい部分にも気を配り、目的を持ってやれています」と、競技意識も変わった。4月には、日本学生個人選手権を55秒台で制覇。6月の日本選手権に初出場を果たすと、予選で53秒83をマーク、決勝で6位に入賞した。


昨年度のシーズンベストは57秒99。今季は高校時代のベストを3年ぶりに更新し、53秒62まで縮めた(写真/中野英聡)

次の目標は日本一、そして世界へ


日本学生個人選手権での優勝を「奇跡」と振り返り、「その時点では、日本インカレで優勝したい、とは言えなかった」と森山。しかし、全国上位を目指す福岡大の女子短距離の仲間たちに刺激を受け、日本インカレ優勝が明確な目標になっていったという。

「52秒台に近い、53秒台前半を狙っていましたが、気持ちの面がうまくいきませんでした」と、記録的には目指していたレベルに届かなかったものの、自身2度目の53秒台で、地力が上がったことを証明。福岡大のOGで、今夏のオレゴン世界選手権の男女混合4×400mR代表に選出された久保山晴菜(今村病院)とは、普段から一緒に練習しており、先輩に引っ張られるように力をつけた。

学生女王の座を手にして、次に目指すのは日本一。「これから日本のトップと戦えるようになって、来年は日本選手権で優勝したい。世界選手権のマイルメンバーも目指します」と森山。日本選手権で勝てば、来年のブダペスト世界選手権の4×400mR代表入りが見えてくるはずだ。

文/石井安里 写真/中野英聡、早浪章弘

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