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2022-10-01

【NFL】QBタゴバイロアが5日間で2度目の負傷退場、リーグの安全管理に重大な疑義も 第4週サーズデーナイト

後頭部から叩きつけられて動けなくなり、ストレッチャーで搬送されるQBタゴバイロア=photo by Getty Images

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アメリカンフットボールの世界最高峰、米プロフットボール・NFLは、第4週のサースデーナイトゲーム(TNF)が、現地9月29日夜(日本時間30日午前)、オハイオ州シンシナティであった。シンシナティ・ベンガルズとマイアミ・ドルフィンズが対戦。ベンガルズが27-15で、開幕3連勝のドルフィンズを破って2勝2敗とした。ドルフィンスは3勝1敗。
 また、試合中にドルフィンズのQBトゥア・タゴバイロアが、QBサックを受けて負傷退場。4日前のビルズ戦から2度目の退場で、今後、大きな問題となっていく可能性がある。(写真はすべて Getty Images)


NFL Week4 サーズデーナイトゲーム  
ドルフィンズ  3 9 3  0  15
ベンガルズ   7 7 0 13 27
(2022年9月29日 シンシナティ ペイコー・スタジアム)

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ベンガルズが早くも建て直し
=photo by Getty Images
 ベンガルズは、1Q早々にRBジョー・ミクソンの5ヤードタッチダウン(TD)ランで先制すると、2Qには、QBジョー・バロウがWRティー・ヒギンスにTDパスを決めて、前半を折り返した。
 3Qには、ドルフィンズのKジェイソン・サンダースのフィールドゴール(FG)で逆転されたが、ベンガルズも4QにKエバン・マクファーソンのFGで再逆転。マクファーソンは、その後に57ヤードのFGも決めて、リードを5点に広げた。
 逆転にはTDが必要となったドルフィンズは、QBトゥア・タゴバイロアに替わって出場のテディ・ブリッジウォーターのパスで攻めたが、TEマイク・ゲシキを狙ったロングパスをインターセプトされた。ベンガルズはQBバロウが、TEヘイデン・ハーストにTDパスを決めて、リードを12点として決着をつけた。
=photo by Getty Images
 昨シーズンはスーパーボウルに出場しながら、今季は開幕連敗だったベンガルズが早くもチームを立て直してきた。開幕2試合で被サック13だったQBバロウは、この2試合で2サック、1サック。ビルズ戦で、徹底したブリッツを見せたドルフィンズのディフェンスに対し、パスプロテクションがしっかり機能した。
 バロウ自身も、エースWRジャマ―・チェイスばかりを狙うのではなく、ヒギンスやタージボイド、キャッチ能力の高いRBミクソン、TEハーストに投げ分けた。この試合ではチェイスを狙ったのは、31回のパスアテンプトでわずか6回だった。

後頭部から叩きつけられ救急車で搬送

この試合の前に、NFLのパワーランキングで2位となったドルフィンズ。だがQBトゥア・タゴバイロアの負傷退場と共に、その勢いは消えた。

2Q、残り6分からのプレー、タゴバイロアはベンガルズのDTジョシュ・トゥポウにサックされた。ベンガルズのチーム最重量、154キロのトゥポウに、プロレスのバックドロップのように、後頭部から芝生に叩きつけられた。

タゴバイロアはフィールドに横たわりながら、両手の指を不自然に曲げていた。これはKOされたボクサーに時折みられるフェンシング反応というものだという。
サックされて、後頭部から叩きつけられるドルフィンズQBタゴバイロア=photo by Getty Images
試合は中断し、タゴバイロアストレッチャーで運び出され、救急車でシンシナティ大学医療センターに搬送された。

 チームは公式にタゴバイロアの症状が脳震盪であると認めている。シンシナティでの入院は一時的な物で、検査を受けた後、飛行機でチームの他のメンバーと一緒にマイアミに帰っている。

 マイク・マクダニエルヘッドコーチ(HC)によると、ベンガルズ戦で負傷した後のタゴバイロアは、終始意識があり、手足も動いていたという。

 現地9月30日現在、タゴバイロアの今後については、全く見通しが立たない状況だという。

4日前の負傷「脳震盪ではない」は、本当か

 今回のタゴバイロアの脳震盪による退場が、問題視されているのは、4日前に同じような症状が疑われる負傷退場があったからだ。

 タゴバイロアは、ドルフィンズが9月25日にビルズに勝利した試合で一時的に退場した。ビルズのLBマット・ミラノから受けたヒット(QBサックではなくラフィング・ザ・パサー)で、タゴバイロアは一旦立ち上がるが、腰砕けのように崩れ落ちた。そして、途中退場。しかし試合後半から復帰し、勝利を収めた。
 
 ドルフィンズのマクダニエルHCは試合後、タゴバイロアは、脳震盪プロトコールを受けてクリアしており、崩れ落ちたのは、脳震盪ではなく、前半の別のプレーで背中から腰に掛けて負傷し、ミラノのヒットで負傷が悪化したと試合後の記者会見で説明した。

 タゴバイロア本人も脳震盪を否定し、「一時的に背中がロックして動かなくなってしまっただけだ」と答えていた。

 NFL選手会(NFLPA=労働組合)は、ビルズ戦のタゴバイロアの負傷について、ドルフィンズの「脳震盪プロトコール」が適性に行われたのか疑義があるとして、調査を要求していた。
 
 NFLは試合前日の9月28日、調査はまだ終わっておらず、進行中としながらも、そこまでわかる範囲では、プロトコルが適切に守られていたことを示唆していた。

 脳震盪を、短期間に複数回繰り返すのは、非常に危険だ。これは医療関係者だけでなくスポーツ関係者にも広く知られている常識だ。身体に障害が残ったり、最悪の場合は死に至ることもある。

 仮に、タゴバイロアのビルズ戦の負傷が脳震盪だった場合、5日間で2回の脳震盪と言うことになり、極めて危険な状況となる。

選手会は、真相究明を求め「あらゆる法的手段」
 
 NFL選手会のデマーカス・スミス専務理事はベンガルズ戦の後に、「我々は、ライセンス機関(NFLを指す)や、我々の選手の安全を守る義務のあるチームに医師に対する照会を行うなど、あらゆる法的手段を追求する」と述べた。

 選手会のJ.C.トレッタ―会長も金曜日に「我々は皆、ここ数日見てきたものに憤慨し、我々の兄弟の1人の安全を恐れている 」という声明を発表した。
 
 トレッター会長は、声明の中で以下のように明言している。

「選手会としては、事実を把握し、責任者に責任を取らせるためにあらゆる手段を講じる」
「我々は、先週の日曜日(25日のビルズ戦)に、『出場禁止』の症状のある選手をフィールドに戻すという決定が、どのように、そしてなぜ下されたのかを解明する必要がある」

 今後の調査の結果次第では、NFLの根幹を揺るがすような大問題になるかもしれない。

NFLの脳震盪プロトコール

 NFLでは脳震盪が疑われた選手に対しては、以下の5段階を経てからの復帰が義務付けられている。その中には、チーム医師だけでなく、独立した専門家の判断も含まれている。

ステップ1:症状を悪化させる可能性のある活動を制限し、安静にさせる
ステップ2:有酸素運動プログラムを段階的に開始
ステップ3:具体的なフットボールの動作を行わせる
ステップ4:チームでのノンコンタクト練習に参加させる
ステップ5:フットボールのフル練習に戻る
これらの5つのステップが完了した後、選手はゲームに戻る前に、チーム所属の医師のチェックに合格し、さらにチーム外の独立した神経専門医によって検査を受けて、合格しなければならないという。

【小座野容斉】

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