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2019-12-22

【ボクシング】全日本新人王決定戦 大逆転KOの本多航大がMVPに輝く

第66回全日本新人王決定戦が22日、東京・後楽園ホールで行われ、ミニマム級からミドル級まで12階級の東西新人王が熱戦を繰り広げた。東西対抗の結果は6対6で引き分け。最優秀選手賞は本多航大(川崎新田)、技能賞は中西寛多郎(HKスポーツ)、敢闘賞は前田稔輝(グリーンツダ)が獲得した。なお休会した協栄ジムの2選手は、今回限定で花形ジムから出場した。

写真上= 12階級の全日本新人王

★ミニマム級決定戦5回戦
○森  且貴(大橋)=東軍
【判定3ー0:50対45、49対46×2】
●丁野 拓海(中日)=西軍

森(左)-丁野

  互いに力を込めたパンチを応酬。精度と回転力にまさる森がポイントを重ねる。3回にバッティングで左目尻をカットした森だが、接近戦の打ち合いも馬力で押し切った。

★ライトフライ級決定戦5回戦
○表   祥(SFマキ)=西軍
【判定2ー0:47対47、47対46×2】
●安藤 教祐(KG大和)=東軍

表(左)-安藤

 安藤のフットワークと遠くから飛んでくる右に接近を阻まれていた表。ところが4回、ガードが下がった安藤に初めて右をヒットしてダウンを奪う。反撃に出た安藤に左フックを決めて2度目のダウン。最終回も右クロスで追った表が、SFマキジム初の全日本新人王に。

★フライ級決定戦5回戦
○中村 淳希(市野)=西軍
【判定3ー0:50対44、49対45、49対46】
●臼井 春樹(八王子中屋)=東軍

中村(左)-臼井

 長身でリーチにも恵まれた両者はジャブの差し合いでスタート。スピードにまさる中村が優位に立ち、2回には右から左フックの返しでダウンを奪う。3回から臼井もプレスを強めるが、中村は巧みなカウンターで反撃を断った。中村は市野ジム初の全日本新人王。

★スーパーフライ級決定戦5回戦
○目黒 聖也(セレス)=東軍
【判定2ー1:48対47×2、47対48】
●岩﨑 圭祐(オール)=西軍

目黒(右)-岩﨑

 長身サウスポーの目黒が速い左ストレートで前半を有利に進めるが、岩﨑も被弾覚悟で前進。4回からは猛然とラッシュを仕掛け、目黒をロープに詰めたが、決定打を欠き、逆転には届かなかった。

★バンタム級決定戦4回戦
○中西寛多郎(HKスポーツ)=西軍
【判定3-0:40対36、39対37、39対38】
●小笠原梢太(シャイアン大嶋)=東軍

中西(右)-小笠原

 18歳の中西が鮮やかな技術を披露した。左をジャブ、フック、アッパーと多彩に操って先手で攻め、右につなげる。足も使って自分の距離をキープ。小笠原は左フックを強振して迫るが、中西の堅実なボクシングを最後まで崩せなかった。HKスポーツジム初の全日本新人王となった中西は、技能賞に選ばれた。

★スーパーバンタム級決定戦5回戦
○津川 龍也(ミツキ)=西軍
【判定3-0:48対47×2、49対46】
●竹原  毅(花形)=東軍

津川(左)-竹原

 西軍MVP津川が速い右ストレートで強気に踏み込み、初回から主導権を握った。強引に前に出るサウスポー竹原は、津川のカウンターを食らう。竹原は最後まで津川を体ごと押していくが、挽回には至らなかった。

★フェザー級決定戦4回戦
○前田 稔輝(グリーンツダ)=西軍
【判定2-1:39対37、39対38、37対39】
●亀田京之介(花形)=東軍

前田(左)-亀田

 東日本最優秀の亀田と、西軍技能賞の前田が激突した注目カード。一触即発の空気が漂う中、亀田は足を使って大きくリングを旋回、サウスポー前田は無駄打ちせずにジリジリと追う。2回、コーナーに詰まった亀田が右をカウンターして前田をよろめかせるが、3回は前田がボディを攻める。勝負の最終回は、左を軸に攻め込む前田に、亀田もロープを背負いながら左右のカウンターで対抗。激しい打ち合いは終了ゴングまで前田が攻め切り、際どく勝利を掴み取った。前田は敢闘賞に選ばれた。

★スーパーフェザー級決定戦4回戦
△谷口 彪賀(八王子中屋)=東軍
【引分1-0:38対38×2、39対37】
△岩崎 淳史(フジタ)=西軍
※谷口の勝者扱い

谷口(左)-岩崎

 サウスポーの谷口が左で飛び込むスキをうかがい、岩崎が出端に右を狙い打つ。回を重ねるごとに谷口のしつこさに拍車がかかり、消耗戦に。互いに決め手を作れないまま終了ゴングを迎え、ドローの末、優勢点で谷口が勝者扱いとなった。

★ライト級決定戦5回戦
○齋藤眞之助(石川ジム立川)=東軍
【判定3-0:48対47×3】
●藤田 健介(千里馬神戸)=西軍

齋藤(左)-藤田

 東西の決勝では不戦勝だった2人。ともにジャブからチャンスをうかがうが、齋藤は足を使って回り、藤田は前進と、スタイルは対照的。柔軟に戦う齋藤がワンツーを狙い打ち、終盤は徹底したフットワークで藤田の反撃をかわし切った。

★スーパーライト級決定戦5回戦
○本多 航大(川崎新田)=東軍
【TKO4回42秒】
●藤田 裕崇(名古屋大橋)=西軍

本多(左)-藤田

 5戦全KOの藤田が初回、サウスポー構えからの右フックで先制のダウンを奪うと、本多に休む間を与えず攻め、右フックで2度目。ところがここを耐えた本多は2回から大逆襲に移る。猛然と打ってくる藤田のパンチを体を振ってかわしながら、左フック、ワンツーをヒット。3回、動きの鈍った藤田をロープに詰め、左フックを打ち抜いてダウンを奪い返す。続く4回、藤田の精一杯の抵抗を乗り切った本多が再び左フックで倒すと、レフェリーはノーカウントで試合をストップした。大逆転でこの日唯一のKO勝ちを飾った本多は、最優秀選手賞に選ばれた。

★ウェルター級決定戦5回戦
○安井  誉(森岡)=西軍
【判定2-1:49対46、48対47、47対48】
●足名 優太(渡嘉敷)=東軍

安井(左)-足名

 速いフットワークを駆使しながら左を突く安井に対し、足名はガードを固めて前進、距離をつぶしにかかる。足名のプレスに押された安井だが、3回にはショートの左フックから連打で効かせた。終盤は足名が打たれながらも攻め続け、接近戦に持ち込むが、安井も引かずに打ち返す。安井が3度目の挑戦で全日本新人王を獲得した。

★ミドル級決定戦4回戦
○湯澤 卓巳(宇都宮金田)=東軍
【判定3-0:40対34×2、39対35】
●国本 泰幸(金沢)=西軍

湯澤(右)-国本

 立ち上がりは国本が手数で上回ったが、次第に湯澤が馬力で圧倒。3回には左ボディからの連打でダウンを奪い、旺盛なスタミナで最後まで押し切った。

左から敢闘賞の前田、最優秀の本多、技能賞の中西

文◉藤木邦昭
写真◉ワンダン・ダワー

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