村田諒太(帝拳)のV1戦(12月23日・横浜アリーナ/スティーブン・バトラー=カナダ=)が刻々と迫っている。5日、帝拳ジムで練習を公開した村田は、徹底して丁寧に動き、さらに自分のボクシング全景を確認しているように見えた。ロブ・ブラント(アメリカ)を2回にTKO。あまりに劇的に雪辱を果たしてからの初試合になる。村田の鋼鉄の強さを見たい。ファンの望みは今、そこにしかない。
上写真=村田はジムワークで、フォームの入念な確認する
前日、アドリアン・ルナ(メキシコ)とビタリ・コピレンコ(ウクライナ)を相手に合計6ラウンドのスパーリングをこなした。
「ぎっちりとやりきりました。長いラウンドをやるのはこれが最後になるのかな。スパーは16日まではやるでしょうけど、これからは、そんなに長くはやらないと思います」
バトラーと戦うため、今回準備した戦闘手法のテキストブックはすべて踏破した。あとは微調整を加えていくだけだ。
すでに減量を開始し、リミットまで残り4キロに迫っている。疲れもあると村田は明かした。それでも練習は、より引き締まっていたように見えた。
シャドーボクシングを4ラウンド、カルロス・リナレス・トレーナー相手のミット打ちは2ラウンド、ドラム、スティックがそれぞれ1ラウンド。その全編、基本のフォーム、コンビネーションを几帳面になぞり、重心がしっかりと垂直下にあるのを確かめ、拳の中心でしっかりと目標を打ち抜く。戦いの基本ラインにある『その形』を自分の体に叩き込んでいく。迫力満点とはいかないが、順調な仕上がり過程を見せてくれた。
試合までは自宅を離れ、ホテル住まいが続く。ボクシング界きっての読書家である村田は、ドストエフスキーの『罪と罰』を読み始めたという。
「3分の2で中断しました。あまりにも内容が重いんで、試合前に読む本じゃないと。残りは試合後の楽しみにします」
肉体の奥部におこった戦士の炎は、着実に燃え広がっているようだ。
文・写真◎宮崎正博
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