WBO女子世界スーパーフライ級チャンピオン吉田実代(31歳=EBISU K'S BOX)の初防衛戦が12月31日(火)、東京・大田区総合体育館で行われることが22日、発表された。挑戦者はWBC女子アジア同級王者のシー・リーピン(21歳=中国)。すでに発表されているWBO世界スーパーフライ級王者・井岡一翔(Reason大貴)の初防衛戦、WBO世界フライ級王者・田中恒成(畑中)のV3戦とともに開催。トリプル世界戦となる。
上写真=「今回もまた新しい吉田が見られそう」と、加山会長も楽しみにしている
「大晦日の興行に出場する選手は、人気も実力もある選手というイメージがあったので、まさか私が出させていただけるとは……」と吉田は気色ばんだ。昨年の同日は、テレビでボクシングや格闘技を観戦しての年越しだったという。
6月に世界タイトルを獲得し、各方面に引っ張りだこ。「社会福祉活動やいろいろな媒体に呼んでいただけるようになった」と、日々多忙な生活。しかし、愛娘・実衣菜ちゃん(4歳)との生活を大切にし、トレーニングも一段とハードさを増している。“本業”は、「日頃の積み重ね。試行錯誤を繰り返しながら、1日1日を無駄なく過ごしている。このまま突き進んで、リングに上がれば、娘も背中を見て何かを感じてくれるはず」と、心身ともに充実している様子だ。
対するシーは、今年6月に平安山裕子(平仲ボクシングスクール)を判定で下している右のボクサーファイター。「おそらくアマチュアキャリアもあって、ボクシングがしっかりしている。好戦的な選手でもある」と加山利治会長。吉田も「身長が169cmくらいあるようで、リーチが長くて懐の深い選手」と語る。プロではまだ7戦(5勝2KO2敗)と、吉田のキャリア(14戦13勝1敗)の半分だが、「指名戦ではないですが、世界タイトルマッチなので外国の選手、しかも強い選手とやらせたかった」と加山会長は、警戒しながらも吉田への自信もうかがわせた。
「自分と戦うことをイメージして、自分の映像を見ています。どこにスキがあるかを」。これまでは、自分の良さを伸ばすことを考えてきたが、そうやってマイナス面の修正に取り組んでいるのだという。
週1回は、自衛隊体育学校へ出向き、国内女子フェザー級トップの晝田瑞希らとともにトレーニング。ロンドン五輪フライ級代表で、高度な技術を持つ須佐勝明コーチの指導を受けている。さらに、これまでに引き続き、元WBA世界スーパーフェザー級王者・内山高志さんに強いパンチの打ち方を教わり、同郷(鹿児島)で、中学の先輩でもある元日本バンタム級チャンピオン益田健太郎さんにも、体の使い方などのアドバイスを受ける。本人の貪欲さが周囲を動かし、バックアップ態勢はしっかりと整っているようだ。試合では、益田氏がセコンドに入る予定だという。
「自分の限界を決めず、そこを突破してしっかりと勝ちたい。女子ボクシングもしっかり頑張っているというところを見せたいです」
1戦ごとに、進化した姿を披露し続けてきた吉田。今度はどんなボクシングを見せてくれるだろうか。
文&写真_本間 暁
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