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2022-11-23

“ひざの専門医”田代ドクターの変形性ひざ関節症教室 第3回 変形性ひざ関節症はロコモと関係ある?

ひざは健康寿命延伸の要の関節。ところが、中高年になると、ひざ関節の軟骨がすり減り、「ひざが痛い」「水がたまる」「痛くて長く歩けない」「ひざが変形した」などといった症状に悩む方が増えてきます。本連載では、ひざの専門医・田代俊之ドクターが、ひざ関節の構造と機能、変形性ひざ関節症の症状と治療について、やさしく解説していきます。今回のテーマは、「ロコモ」について。ひざの具合はロコモティブシンドロームと関係があるのでしょうか。

Q ロコモティブシンドロームと関係ありますか?
A 変形性ひざ関節症はロコモティブシンドロームと関係があります

 ロコモティブシンドローム(ロコモ)は、2007年に日本整形外科学会が提唱した概念です。運動器症候群ともいい、年をとるに従い関節や脊椎の病気が進み、筋力も低下していくことにより、立ったり歩いたりという移動機能が低下してしまう状態を指します。ロコモが進行すると、立ち上がりや歩行が一人ではできなくなり、日常生活で要支援・要介護が必要になります。このことは、今後さらに福祉費の財源が厳しくなる日本社会とって大きな問題です。

変形性ひざ関節症は、ロコモになる原因疾患の1つであり、健康寿命(健康上の問題によって日常生活が制限されることなく生活できる期間)が終わる主原因と考えられています。変形性ひざ関節症を予防・治療し、進行を抑えて最期まで自分の足で歩き続けるようになることは、個人にとっても、社会においても大切な課題といえるでしょう。

Q 高齢ですがトレーニングで筋肉は増えますか?

A ご高齢の方ももちろん鍛えれば筋肉は増えます

変形性ひざ関節症の予防・治療では、筋力トレーニングを継続し、筋力を落とさないようにすることがもっとも重要な基本戦略です。高齢なのに筋肉を鍛えることができるのかしらと思われる方がいますが、心配に及びません。 

組織が半分生まれ変わるのに骨は7年、軟骨は117年かかります。それに対して筋肉は、わずか48日で半分が生まれ変わります。生まれ変わる能力が高いということは、トレーニングをすればすぐに成長するということです。

 つまり、筋肉は何歳になってもトレーニングをすれば増強することができるのです。その半面、使わなければ衰えるのも早いと考えられます。したがって、常に筋力を保つことを意識する必要があります

プロフィール◎田代俊之(たしろ・としゆき)さん
JCHO東京山手メディカルセンター整形外科部長
1990年山梨医科大学卒業後、東京大学整形外科入局。東京逓信病院、JR東京総合病院勤務をへて、2014年に東京山手メディカルセンターへ。2017年4月より現職。ひざ関節の疾患を専門とし、靭帯損傷、半月板損傷、変形性関節症などについて、長年にわたって幅広く対応している。2004年より中高齢者に向けたひざ痛教室を毎月開催している。日本整形外科学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター。陸上競技実業団チーム(長距離)のドクターも務める。

この記事は、ベースボール・マガジン社の『図解・即解!基礎からわかる健康シリーズ 変形性ひざ関節症』(田代俊之著、A5判、本体1,500円+税)からの転載です(一部加筆あり)。 Copyrightⓒ2022 BASEBALL MAGAZINE SHA. Co., Ltd. All rights reserved.

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