元IBF世界スーパーバンタム級チャンピオンで、現同級1位の岩佐亮佑(29歳=セレス)が12月7日(日本時間8日)、アメリカ・ニューヨークのバークレイズセンターでIBF同級王座決定戦を行うことが12日、所属するセレスジムで発表された。対する相手は同級3位で元WBO世界バンタム級王者マーロン・タパレス(27歳=フィリピン)だ。
上写真=三度目の海外ファイトとなる岩佐(左)と“セレス”小林昭司会長。もう慣れたものだ
今年2月、アメリカ・ロサンゼルスで同級挑戦者決定戦を行い、セサール・フアレス(メキシコ)を10回負傷判定で下し、挑戦権を獲得していた岩佐。岩佐から王座を奪ったTJ・ドヘニー(アイルランド)がWBA同級王者ダニエル・ローマン(アメリカ)と統一戦を行い、ローマンが判定勝ち。両王座を掌中に収めていたのだが、「ローマンが拳を負傷したため」(小林昭司会長)、メジャー4団体でも厳格で知られるIBFも暫定王座設置を決定。権利を有する岩佐が出場する運びとなった。
久保隼(真正)、松本亮(大橋)を撃破しているローマンは、日本でもおなじみで、「ローマンと戦いたかった」と岩佐も準備をしたいたわけだが、代わって登場するタパレスも、来日経験豊富で、ファンには鮮烈な印象を残している。
特に大森将平(ウォズ)との2戦は鮮烈で、いずれもKO勝ちしているが、第2戦(WBOバンタム級タイトルマッチ)は、王者タパレスが計量失格し剥奪され、大ひんしゅくを買った。
大森戦同様、ともにサウスポー同士の戦いとなるが、岩佐はIBFフェザー級6位にもランクされる阿部麗也(KG大和)や、マイケル・ダスマリナス、マーク・アンソニー・ヘラルド(いずれもフィリピン)とのスパーリングで腕を磨く。
「タパレスは、パンチが強い。とくに右フックは強烈だけれど、それだけにとらわれないように。荒そうに見えて巧さもある」と岩佐。
小林会長も、「固定観念にとらわれすぎて失敗した経験は何度もあるから」と、2015年6月のIBFバンタム級王座決定戦で、リー・ハスキンス(イギリス)を強引に打ちにいってカウンターで倒された試合などを引き合いに出した。
これまでの敗戦は山中慎介(帝拳)、ハスキンス、ドヘニーと、いずれもサウスポーで、今度のタパレスもサウスポー。「練習ではとくに苦手意識もなく、スムーズにできているのに、結果はそうなってしまった」と、本人も不思議そうに語るが、意識しないようにと考えること自体、意識することになる。「時差とかまったく感じない、楽観的な性格」(岩佐)を、こういう部分で生かすべきだろう。
「さばいたり、いなしたりはすでにできるので、自分から仕掛けて打ち合いで勝つことも念頭に準備している」と自身はオールラウンドなスタイルを求めている。「フィジカル面で、成長しているのはミットを受けていても感じる。そことスタミナについてはまったく心配していない」と小林会長も肉体面に関しては太鼓判を押す。
すでに世界王座を獲得し、「お世話になった人たちなど、周りの期待に一応、応える形は残せた。いろいろな“呪縛”から解放されて、これからは自分のための、のびのびとしたボクシングに専念できる」と、快活に語る。いい意味で「勝負に行ける」と話し、「インパクトを残し、今後はアメリカで戦っていきたい」とも。
当日のメインイベントは、WBC世界ミドル級王者ジャモール・チャーロ(アメリカ)のタイトルマッチ。大舞台で、世界中の注目が集まる中でのアジア人同士の一戦は、貴重なチャンス。岩佐が言う「勝負」の意味にはいろいろな要素が含まれている。
岩佐:29戦26勝(16KO)3敗
タパレス:35戦33勝(16KO)2敗
文&写真_本間 暁
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