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2022-11-15

【相撲編集部が選ぶ九州場所3日目の一番】また今場所も混戦へ!? 3日目で貴景勝に土

連勝で来ていた大関貴景勝は髙安に叩き込まれて土。ただ、まだまだ今場所は、番付上位から優勝力士が出る可能性は十分残されている

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髙安(叩き込み)貴景勝

このところ、混戦の優勝争いが続く相撲界。ただ一年納めの今場所は、「もしかしたら番付通りの結果に終わるかも」と思わせる存在が、昨日まではいた。横綱照ノ富士が休場した今場所、出場力士の中で番付最高位に位置する東大関の貴景勝だ。
 
実際、初日、2日目と貴景勝の相撲は素晴らしかった。このところずっと見られていたヒザのサポーターも今場所はなく、状態の良さをうかがわせる。そして、立ち合いもしっかりと手を着くようにしたことで低さと勢いが戻り、初日は大栄翔、2日目は琴ノ若を圧倒して押し出していた。
 
しかしこの日は、今場所初めて上体を起こされた。髙安のカチ上げからの突きに先手を取られてのけぞるような形に。頭を下げようとしたところを、タイミングよく叩き込まれた。

「相手を起こせましたので、自分の流れで相撲を取れました」と髙安。今場所は右足を痛めており、そのあたりがどう影響するかという心配もあったが、むしろそれにより、いつもにも増して、立ち合いからの思い切りのいい攻めが出せたのかもしれない。
 
この波乱によって、3日目にして大関の全勝はいなくなり、今場所もまた混戦模様の色が濃くなってきた。ただ、ここ数場所と若干違うのは、関脇以上の5人がすべて白星先行できているところ。連勝で来ていた御嶽海は大栄翔に引き落とされて土がついたが、それでも2勝1敗。五分だった正代、若隆景はそれぞれいい内容で白星を先行させてきた。そして豊昇龍が関脇以上ではただ一人3戦全勝。貴景勝も「明日に向かって、もうやるしかないんで、気持ちは明日に向いています」と取組後に語っているが、混戦の中から番付上位の力士が抜け出す可能性も、今場所はまだ十分にある。
 
そのほか、幕内の全勝力士は、小結の翔猿、平幕の阿炎、琴勝峰、平戸海。この中では「猿からゴリラへ」と宣言してパワーアップしている翔猿と、先場所まで三役であり、相撲内容もいい阿炎が、優勝争いに残っても不思議ではない力を持つ。
 
おそらく、まだ大関、関脇がつぶし合う対戦は組まれないはずなので、しばらくは小結や前頭上位の実力者相手にいかに取りこぼさずにいけるかというサバイバル戦が続く。上位陣による優勝争いになるのか、それともまた平幕を含んでの争いになるのか。今場所に限っては、場所の色はまだ見えてこない。

文=藤本泰祐

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