国内アメリカンフットボールの最高峰、「X1 スーパー」の4チームによるライスボウルトーナメントセミファイナル(準決勝)の1試合、パナソニック インパルス対オービック シーガルズ戦が、12月11日、大阪市のヨドコウ桜スタジアムで行われた。パナソニックが、後半に力を発揮してオービックを破り、来年1月3日の決勝戦、日本選手権・ライスボウルに進出した。
パナソニックは2年連続9回目のライスボウル出場。
準決勝のもう1試合は12月12日に東京ドームで行われ、富士通フロンティアーズとエレコム神戸ファイニーズが対戦する。
ライスボウルトーナメント準決勝パナソニック インパルス○30-10●オービック シーガルズ(2022年12月11日、ヨドコウ桜スタジアム) 前半は互角の展開だった。
パナソニックが最初のオフェンスシリーズで56ヤードをドライブしてK佐伯眞太郎のフィールドゴール(FG)に結びつけて3点を先制。オービックも直後のドライブで59ヤードをゲインして、K髙坂將太のFGで同点とした。
オービックは、2Qに、RB李卓をレシーバーとしたアウトサイドのパスでゲインを重ねると、QBジェイソン・スミスがTEホールデン・ハフにタッチダウン(TD)パスを決めて勝ち越した。
しかし、直後のオフェンスで、パナソニックも、QBジェイロン・ヘンダーソンがディフェンスの裏に絶妙のスクリーンパス。レシーブしたWR桑田理介がブロッカーを上手く使い、エンドゾーンまで走り切ってTD、10-10と追いついた。
オービック、響いたQBスミスの負傷リタイア オービックは、2Q残り4分からのオフェンスでQBスミスが負傷、サイドラインに下がった。スミスは、この後治療を受けたが試合には戻れなかった。これが勝敗に大きく影響した。
後半最初のオフェンス、オービックは3&アウト。これに対しパナソニックは、QBヘンダーソンが積極的に走って前進しゴール前へ。仕上げは、ミッチェル・ビクタージャモーが11ヤードのTDランで勝ち越した。
直後のオービックオフェンス、QB小林優之のパスをパナソニックDB清家大志がインターセプト、このチャンスをFGに繋げパナソニックがリードを広げた。
その後は両チームのディフェンスがよく粘って無得点の時間帯が続いたが、4Q残り4分でオービックQB小林が2度目のインターセプトを喫してしまう。パナソニックはランでじっくり時間を使ってK佐伯のFGに繋げて、残り1分13秒で13点差とした。
諦めずにキャッチアップを狙ったオービックだったが、パナソニックはOLBジャボリー・ウィリアムスが、オービック小林のパスを叩いて宙に浮いたボールをインターセプトすると、リターンTD。30-10として試合を終えた。
パナソニックは、QBヘンダーソンがオービックディフェンスのプレッシャーに苦しみながら、試合をコントロールした。ヘンダーソンはパス144ヤード、ラン50ヤードを記録した。
前半166ヤードをゲインしたオービックオフェンスだったが、後半は51ヤードにとどまった。QBスミスの負傷リタイアが最後まで響いた。
チームの完成度はまだ7~8割パナソニック荒木延祥監督
「#6のQB(ジェイソン・スミス)が後半に出てこないとは予想していなかった。ただ、前半あれだけ走らせていたので、あれを1試合続けるのはなかなか難しいだろうとは思っていた。走られたけれど、一発、(TDまで)走り切られることは無かったので。ディフェンスが粘り強く守ったと思う」
「オフェンスは、前半、TDを取られて3-10とされた直後のシリーズでTD取り返したのが大きかった。WR桑田が本当にいい働きをした。気持ちの強さが違う」
「QBヘンダーソンは、第2節、第3節と段々にフィットしてきた。今のところ心配がない。オフェンスとしてずっと同じページにいる。チームの完成度はまだ7~8割。ライスボウルまでには10割に仕上げて、今年こそ日本一を取る」
小林には酷な場面を作ってしまったオービック大橋誠ヘッドコーチ
「昨シーズンのライスボウルを皆で見て、富士通、パナソニックという両チームに勝つためのフットボールをやらなければいけないのだなと考え、それに挑んできたシーズン。結果的に、今季もそれが果たせなかった。自分の力不足を感じる」
「(QBジェイソン・スミスの負傷は)本当に勝つチームなら、ああいうアクシデントが起きた時に対処できる一手を持っている。ジェイソンをQBとして仕上げるのに多くの時間をかけたので、小林には練習の中でもプレーする機会をなかなか与えられなかった。そういう意味で、小林には今日は酷な場面を作ってしまったと思う」

