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2022-12-19

【高校駅伝】薫英女学院高・水本佳菜が積極性あふれる走りで「力を存分に発揮できる駅伝を」

今夏の徳島インターハイで1500m、3000m共に日本人トップでフィニッシュ。強さを見せつけた(写真/椛本結城)

12月25日、京都の都大路を高校生たちが駆け抜ける。女子は、インターハイで1500m、3000m共に日本人トップでフィニッシュした水本佳菜(薫英女学院高3年・大阪)の走りに注目が集まる。「1区を走るつもり」と宣言する水本が積極的な走りで「力を存分に発揮する」駅伝を見せる。

 強さを証明したインターハイ

高校生にも、「速さより強さを―」と言葉にする選手が増えてきた。水本佳菜(薫英女学院高3年・大阪)もその一人だ。

勝負の競技において、強さとは勝つことにほかならない。水本はトラックシーズンからそれにこだわり、インターハイで体現した。1500mは4分17秒28の自己ベストで3位、自己記録9分05秒03の3000mは4位。いずれも日本人トップの成績を収めた。

水本が追求する強さにインターハイでたどり着いたわけだが、時を巻き戻すと、インターハイ大阪予選1500mで水本は2位。出鼻をくじかれた。そのときのレース内容を、安田功先生から「せこいレースをするな」とたしなめられた。インターハイ路線の第一歩でつまずいたことがトラックシーズンの良薬になった。

夏を越えて迎えた駅伝シーズン。水本は大阪府大会1区で19分17秒をマークした。前半3km通過が10分03秒(本人計測)だったことから、後半3kmは9分14秒でカバーしたことになる。区間記録は前年より16秒遅かったが、地力のレベルアップが証明された。

「かっこいい」と感動した走りを次は自分が

 安田先生は「チームの総合力としては、今年は不安定です」と言うが、「水本の安定感、強さは確実な柱だと言えます」と厚い信頼を置いている。

前回は5区の水本。2位でたすきを受け、いったんはK・カロライン(神村学園高・鹿児島/現・2年)に抜かれたが、フィニッシュ直前に抜き返して、準優勝を呼び込んだ。15分55秒で区間4位(日本人トップ)。笑顔のゴールが印象的だった。

今回、水本は「1区を走るつもりでいます」と宣言する。前回の1区でスタートからハイペースで飛び出し、2km過ぎから独走して区間賞に輝いた米澤奈々香(仙台育英高3年・宮城/現・名城大1年)の走りに「かっこいい」と感動した。今年は「私も」という思いがある。

1区はライバル多数のエース区間。当然、水本はマークされる存在で、独走は簡単ではない。だが誰かに引っ張ってもらうようなレースは水本に似合わない。集団の最前列か、あるいは飛び出すか。いずれにせよ、積極性あふれる走りを見せてくれるだろう。

2区を12分44秒で走った近畿大会の時点では「水本1区」は未確定だったが、どの区間を走るにせよ、今年の薫英女学院高は水本頼みになる。安田功先生も「水本の力を存分に発揮できる駅伝にしてほしい」とチームに期待を寄せている。

今季強さをまとった水本が迎える都大路。駆け抜けた後に、どんな記憶と記録が刻まれているだろうか。

前回大会、フィニッシュ直前で逆転し、2位に貢献した水本(写真/椛本結城)
前回大会、フィニッシュ直前で逆転し、2位に貢献した水本(写真/椛本結城)

みずもと・かな◎2005年1月26日生まれ。峰塚中→薫英女学院高(大阪)。1年時から全国高校駅伝に出場。それぞれ2区9位、5区4位で入賞に貢献している。個人でも昨年のインターハイ3000mで4位、U20日本選手権クロカン(6km)優勝。今年度インターハイで1500m3位、3000m4位で共に日本人トップに入った。自己ベストは、1500m4分17秒28、3000m9分05秒03(共に2022年)。

文/中尾義理 写真/椛本結城

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