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2022-10-20

【陸上】国体・少年男子B3000m決勝で鈴木が高1歴代最高を17年ぶりに更新「楽しむことが陸上人生を通しての目標」

栃木国体・少年男子B3000m決勝で17年ぶりに高1歴代最高を更新し、高校歴代3位に入った鈴木(写真/田中慎一郎)

インターハイ以降は長い距離にも対応

高校1年生と中学3年生による少年男子B3000m決勝は、9位まで8分20秒を切る好レースとなり、鈴木琉胤(千葉・八千代松陰高1年)が高1歴代最高の8分01秒26で優勝。従来の高1最高記録(8分13秒94)を17年ぶりに塗り替え、高校歴代3位にランクインした。

「7分台に届いたらいいな、という希望を込めて、8分0秒を目標にスタートラインに立ちました」と、スタート直後から先頭に出た鈴木。「8分0秒で走るには1000mを2分40秒平均で行くことになりますが、イーブンペースを考えていたら無理だろう、と。それでも、入りの1000mが2分39秒だったので元気になって、残りの2000mを頑張ろうという気持ちになりました」と、快調にレースを進めた。2000mの通過は5分24秒と、ややペースダウンしたものの、鈴木は持ち味の終盤に巻き返すつもりだったという。

前半から濵口大和(長野・佐久長聖高1年)が後ろに付いており、鈴木はその息づかいを感じながら走っていた。鈴木は昨夏の全日中3000mの覇者だが、濵口も同大会1500m2位の実績があり、秋のU16大会の1000mでは濵口が2位、鈴木が3位と、直接対決に敗れていた。「3000mは自分の種目。負けるわけにはいかない」と、鈴木はラスト1周でスパートすると、濵口との差を一気に広げてフィニッシュ。目標記録には惜しくも1秒届かなかったものの、「次につながると思って、良い意味にとらえたい」と笑顔を見せた。

小金北中(千葉)ではサッカー部に所属していた鈴木。1年生のときから、陸上の練習を少しやった後にサッカー部の練習に向かっていた。3年時にはサッカー部の部長を務めていたこともあり、部活を抜けないことを仲間たちと約束していたというが、7月の大会でサッカーに区切りをつけてからは陸上に専念。強豪の八千代松陰高に進んでからも、順調に成長している。

8月の徳島インターハイでは、1500mで高1歴代3位の3分46秒82をマークして6位に入賞。夏までは1500mの練習をしていたが、「9月あたりからは、淡々と長い距離を走れるようになってきました」と話しており、自信を持って駅伝シーズンを迎えられそうだ。

チームが10月29日の千葉県高校駅伝を勝ち抜けば、暮れの全国高校駅伝に出場することができる。八千代松陰高は今大会で少年A5000m6位の綾一輝(3年)をはじめ、上級生にも有力選手がそろっていることから、鈴木は1年目の今季、まずはスピードを生かせる3㎞区間の2区を希望。「自分ではロードの方が得意だと思っていますし、好きです」と、高校での初駅伝を心待ちにしている。

「今は先輩たちと練習して、みんなで高め合うことができている。この半年で、陸上って楽しいな、と思えるようになりましたし、走ることの楽しさが分かってきました」

1つの目標を達成すれば、また新たな目標が生まれるだろう。しかし、何よりも楽しむことが「陸上人生を通しての目標」と鈴木は顔をほころばせる。前に出て、自分でレースをつくることを信条に、これからも見る者を魅了していく。

文/石井安里 写真/田中慎一郎

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