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2022-12-31

【アメフト】カレッジNo.1QBのオハイオ州立大ストラウドが最強ジョージア大Dに挑む NFLドラフトも左右する大一番

【全米準決勝ピーチボウル予想】オハイオ州立大QBストラウドは、ジョージア大の最強ディフェンスを攻略できるか=photo by Getty Images

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2023年も、元旦からアメリカンフットボール三昧だ。全米4強による大学王座決定戦「カレッジ・フットボール・プレーオフ(CFP)」が、1月1日、元旦の早朝から、日本語実況・解説による生放送(日本テレビ系スポーツ専門局「ジータス」およびネットライブ中継「NFLGO」)で視聴できる。

 まさに「Happy New year!」。関係者のご努力に深く感謝したい。注目の2試合の見どころを紹介する。(写真はすべてGetty Images)

全米大学王座決定戦(CFP)準決勝 ピーチボウル(ジョージア州アトランタ メルセデスベンツ スタジアム)
ジョージア大学ブルドッグス(全米1位)
     vs 
オハイオ州立大学バッカイズ(全米4位)
日本時間2023年1月1日、午前9時45分ごろ【解説】秋元諭宏 【実況】増田隆生

スマートHCに率いられて入場するジョージア大の選手たち=photo by Getty Images
 
予想:オハイオ州立大学のアップセット


 希望的観測も込めて、オハイオ州立大学のアップセットを予想したい。条件は、NFLからの評価が少し落ち込んでいるカレッジN0.1QB、オハイオ州立大のC.J.ストラウドが覚醒すること。本来の能力を発揮して、先手を取ってパスでどんどん攻め、ハイスコアの展開に持ち込みたい。そのためのレシーバー陣はそろっている。今季のジョージア大は、昨年に比較して、強いて言えばパスディフェンスが若干弱い。また、QBステットソン・ベネットを中心とするオフェンスは、キャッチアップの経験がほとんどない。

 条件はオハイオ州立大のディフェンスが、ジョージア大のランオフェンスを食い止めること。ランで進んでボールコントロールするようなら、全米のメディアや評論家が予想するようにジョージア大の最強ディフェンスが試合をコントロールできるだろう。地元開催ということもあり、ジョージア大の優位は動かない。

 オハイオ州立大がオフェンスで勝ち切るようなら、ストラウドの評価は再上昇。4月のドラフトで全体1位指名もあり得るかもしれない。

 以下、両チームを分析する。


No.1ディフェンスは健在、ランオフェンスも強力…ジョージア大
ジョージア大のDTザイオン・ログー=photo by Getty Images
 ジョージア大は、今春のNFLドラフトでは、全体1位指名のDEトレボーン・ウォーカー(ジャガーズ)、1巡13位のDTジョーダン・デービス(イーグルス)ら、5人が、:それも全員ディフェンス選手が、1巡指名された。3巡までに9人、ドラフト全体では15人もの選手が、ジョージア大から指名された。

 これだけ主力選手が抜けたら、通常は戦力ダウンで、再建モードとなっても仕方がない。ところがヘッドコーチ(HC)カービー・スマートが鍛え上げたジョージア大は違う。

 とにかく負けない。今季はSECチャンピオンシップまで13戦全勝。完封勝ちが2試合、7点以下に抑えた試合が4試合と看板のディフェンスは健在だ。

 ただ、苦戦もある。第5戦のミズーリ大戦(26-22)、11戦のケンタッキー大戦(16-6)では、対戦時全米ランク25位から大きく外れていた両校にてこずった。

 ディフェンスは、失点(1試合平均12.8)、ランディフェンス(同77ヤード)は共に全米2位だが、パスディフェンス(同213ヤード)は全米74位だ。

 ジョージア大は、常にリードして戦っており、対戦相手がキャッチアップのためにパスを多投するので、数字上は仕方がない面もある。

 だが、カレッジフットボール史上最強ディフェンスと言われた昨シーズンは、パスでも全米13位だった。

 勝ったとはいえ、SECのチャンピオンシップではルイジアナ州立大に30失点した。シーズン中に全米25位外チームとの対戦で20点以上が3試合もあった。

 昨シーズンは大敗したアラバマ戦以外では、18失点以上の試合はゼロだった。

 「ディフェンスの先発全員がNFLへ行ける」と評された、昨年のような圧倒的タレント力がない分、失点が多い。

 くわえて、NFLも注目するOLBノーラン・スミスが10月下旬に、負傷でシーズンアウトとなったのが、尾を引いている。

 今季のジョージア大は、その分、オフェンスが力を見せた。ランは今季も全米13位で1試合平均207ヤード。絶対的なエースは不在だが、ケニー・マッキントッシュ、デイジャン・エドワーズ、ケンドール・ミルトンの3人のRBがタフなランを見せる。ランTD37は全米3位だ。
ジョージア大のQBステットソン・ベネット=photo by Getty Images
 そして、スターター定着2年目のQBステットソン・ベネットが、パスでさらなる進化を見せた。13試合で3,425ヤード、20TD・6INTでハイズマントロフィーの投票でも4位となった。ターンオーバーを起こさず、今できることから順番に、確実にプレーを展開する、カレッジフットボールらしいQBだ。

 ただ、ベネットは、自チームが勝っている状況でのプレーがほとんどだ。10点以上リードされた場面でのプレー経験は、今季はミズーリ大の1試合だけだ。

 身体能力や肩の強さ、脚力はカレッジでも並み以下。自ら局面を打開するようなQBではないだけに、キャッチアップの場面に追い込まれたら、冷静でステディなフットボールができるのか、不安は残る。


オフェンスはタレントの宝庫 名WRジュニアにも注目・・・オハイオ州立大
オハイオ州立大のQB,C.J.ストラウド=photo by Getty Images
 オハイオ州立大の注目は、超強力オフェンスの復活がなるかどうか。

 昨年はトータルオフェンスと得点は全米1位。特にQB、C.J.ストラウドは昨シーズン、パス4435ヤード、44TD・6INTという成績。ローズボウルでは573ヤード6TDというパフォーマンスで今季を迎えた。ハイズマントロフィー最有力で、2023年ドラフト全体1位も有力視されていた

 今季も、シーズン途中までは順調だった。9・10月の8試合では、パス2377ヤード。成功率71.3%、29TD・4INTでレーティングは200.17だった。しかし、肝心の11月以降にブレーキがかかった。

 4試合でパス963ヤード、成功率57.6%、8TD・2INT。レーティングは135.8と急落した。

 なにより、宿敵ミシガン大との伝統の1戦が痛恨だった。3点をリードして折り返しながら後半、1FGしか奪えず、去年に引き続いての敗戦。ストラウドはキャッチアップオフェンスの4Qに2連続インターセプトを喫した。そして、ビッグ10カンファレンスの優勝戦にも出られずに、11月でシーズンを終えた。
オハイオ州立大のQB,C.J.ストラウド=photo by Getty Images
 ハイズマントロフィーはUSCのケイレブ・ウィリアムズに奪われ、NFLからの評価も微妙となってきた。

「優れたキャストに恵まれているが、勝負弱い」
「圧倒的に強いOLに保護されて、シーズン12試合で8サックのみ。NFLではあり得ない数字なので、プロでは苦労する」

という見方だ。

 この状況では、全米のメディアや評論家がジョージア大有利と予想するのは十分に腑に落ちる。

 WRジャクソン・スミスエンジバ、RBトレビヨン・ヘンダーソンという全米注目の逸材がボウルゲーム出場を回避したことも、その予想に輪をかけている。

 とはいえ、あの名WRの息子で、2年生ながら満票でオールアメリカン選出のマービン・ハリソンJr.や、RB並みの体格で、ランプレ―でも起用されるエメカ・イブカという2人のレシーバーは将来間違いなくNFL入りする逸材。さらにヘンダーソンに変わってランを支える、頑健なポイントゲッター、RBマイヤン・ウィリアムズもいる。

 ストラウドを守るパリス・ジョンソン、ダワンド・ジョーンズの両OTは、パスプロテクションは完璧で、2023年ドラフトでは2人とも1巡指名される可能性すらある。

 ストラウドは、オハイオ州立大のチームのために、母校のファンのために、そして自身の将来をかけて、カレッジ最強のディフェンスに立ち向かう時が来た。ジョージア大をパスで打ち破ることができたなら、彼の人生がまったく違ったものになるかもしれない。

【小座野容斉】

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