アメリカンフットボールの世界最高峰、米プロフットボール・NFLは現地1月7日(日本時間8日)に2022年レギュラーシーズン最終第18週の2試合を行った。
AFC西のカンザスシティ・チーフス対ラスベガス・レイダースは、チーフスが序盤から順当に得点を重ねて快勝。チーフスは14勝3敗でレギュラーシーズンを終え、AFCの第1シードとホームフィールドアドバンテージを獲得した。
第18週はすべて地区内対戦となっている。
NFLWeek18 カンザスシティ・チーフス ○31-13● ラスベガス・レイダース(2023年1月7日、ネバダ州ラスベガス アレジエント スタジアム) 新戦力が台頭したチーフスが、アウェイのラスベガスで、プレーオフに向け順調な仕上がりを見せた。1Qにエンドゾーン前からQBパトリック・マホームズが、RBジェリック・マッキノンにショベルパスで先制TD。2Qには2TD、1FGで17点を奪い、前半で試合の大勢を決めてしまった。チーフスは、輪になって幼稚園児のように踊るハドルから、スペシャルプレーを繰り出すなどの余裕もあった。
マホームズ、パスの自己記録更新 QBマホームズはこの試合パス202ヤード1TD 、ラン29ヤード。今季は17試合すべてでパス200ヤード以上、1TDパス以上を記録した。前週までに今季のパスはシーズン5000ヤードを超えた。キャリア2度目だったが、この試合でさらに上積みして自己最高の5250ヤードとなった。
さらに、ランでもキャリア2位となる358ヤード(4TD)。トータル5608ヤードは、2011年にドリュー・ブリーズ(元セインツ)が作ったNFL記録5562ヤードを更新した。
シーズン前に、快速WRタイリーク・ヒルがドルフィンズへ放出された。もともとマホームズは、昨シーズン、あえてパスラッシュせずに、ステイしてパスコースを守る対戦相手のディフェンスに苦しんだ状況もあった。メーンターゲットのヒル放出で、米国では「チーフスオフェンスのかっての輝きは失われる」と予想するメディアや専門家もあった。
それを見返すような、自己記録更新と、リーグ最多14勝でのカンファレンス1位。QBとして、また一つステップアップしたと言っていい。

2年目のLBニック・ボルトンがこの試合も16タックルで、今季180タックルとしてクラブ記録を更新した。 ジュジュ・スミスシュースターが933ヤード、マーキーズ・バルデススキャントリングが687ヤードと、今季移籍のWR2人も結果を出した。
ルーキーDEジョージ・カーラフティスは進境著しく、直近の7試合で5.5サック。同じくルーキーでドラフト7巡251位という下位指名ながら、シーズン中盤から先発に昇格し、エースRBとなったアイザイア・パチェコも忘れてはならない。
パチェコはラン830ヤード、パスレシーブ130ヤードで、合計960ヤードは、7巡指名のルーキーとしてはNFLの最高記録となった。ヒルの背番号「10」を背負い、偉大なスピードスターの後を追うように成長を続けている。
チーフスがスーパーボウル王者になったのは2019年シーズン。その時にはいなかった新たな戦力が次々に台頭している。
その一方で、ベテランも健在だ。マホームズと並ぶオフェンスの柱、TEトラビス・ケルシーは110パスレシーブ、1388ヤード、12TD。レシーブ回数とTDはキャリアハイ、獲得ヤードは自己2位と33歳のTEに衰えは全くない。 ディフェンスの軸、DTクリス・ジョーンズもこの試合2.5サックで、今季15.5サック。4年前の自己最多にならんだ。
気は十分に熟した。狙うのは3年ぶりのスーパーボウル優勝しかない。

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1月2日のマンデーナイトゲーム、ビルズ・ベンガルズ戦で、ビルズのセーフティー、ダマー・ハムリンが倒れ、結局試合は中止となった。これに関連したNFLの取り決めで、チーフスは第1シードでHFAを獲得したが、仮にチャンピオンシップまで進出しても、ホームではなく中立地での開催となる可能性は残っている。