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2023-01-10

【相撲編集部が選ぶ初場所3日目の一番】力強さマシマシ。豊昇龍が三役でただ一人の全勝守り3連勝

頭をつけて両前ミツを引きつける力強い相撲で御嶽海を降した豊昇龍。序盤戦は手応え十分なものとなった

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豊昇龍(寄り切り)御嶽海

三役でただ一人、白星を2日間並べていた豊昇龍が、力強い相撲で連勝を継続、3連勝とした。
 
この日の相手は、これまた連勝で来ていた元大関の御嶽海。今場所は約3年ぶりに平幕まで番付を下げているとはいえ、初日には“元大関対決”で正代を圧倒、2日目には右の差し手一本であの若隆景の上体を起こしてしまうという力強い攻めを見せており、好調な出足を見せている。
 
立ち合い。勢いは互角だったが、低さでは頭でいった豊昇龍が勝った。すぐに右の前ミツ、左はハズにあてがい御嶽海の右差しを許さない。御嶽海が少し押し返してくるところ、頭をつけたまま左も下から前ミツをつかんだ。結果的に御嶽海はモロ差しになったが、両前ミツを取られているため差し手が浅すぎ、どちらもほとんど利いていない。豊昇龍は頭をつけて廻しを引きつけ、御嶽海の腰を伸ばすと、そのまま挟みつけるように出て赤房下に寄り切った。
 
それにしても、171キロの元大関に何もさせずに土俵外に運んでしまう、この力強さはどうだ。豊昇龍は初日にも右差し一気の攻めで翔猿を寄り切っているが、どちらかと言うと、とっさの俊敏さと技の多彩さで勝っていた印象があるこれまでと違い、今場所は力強さがグッと増した感じだ。体のほうも、発表は140キロだが、これまでより厚みを増しているようにも見える。

「しっかり集中できている。しっかり落ち着いているんで。(3連勝は)ホントに気にしていない。一日一番、大事にしていきたい」と豊昇龍。精神的にもいい状態で取れているようだ。
 
そういえば、初日に「今年の目標は?」と聞かれたとき、豊昇龍は「まあ、自分の中にはありますけど、口に出さないようにしています」と答えていた。心中ひそかに期すのは、初優勝か、大関か、それともその両方か。いずれにしても、先場所11日目の時点で優勝争いのトップに立ちながら、それを逃したことで、高い目標を心の中に設定していることは想像に難くない。
 
4日目は、今度は玉鷲と全勝同士で対決。こちらも初日にはベテランらしからぬ?驚異的な粘り腰、2日目、3日目には圧倒的な力強さで勝ってきており、元気満々。「上位に若手が増えてきて、さらに楽しくなっています」と語っているだけに、注目の激突になる。豊昇龍は、次々と立ちはだかるベテランの壁を打ち破っていくことができるか。それができれば、その先に新しい時代が見えてくる。

文=藤本泰祐

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