エディオンアリーナ大阪のダブル世界戦から一夜明けた13日朝、WBA世界ミドル級新王者の村田諒太(帝拳)と6度目の防衛を果たしたWBC世界ライトフライ級王者の拳四朗(BMB)が大阪市内のホテルで記者会見を行なった。
写真上=笑顔で会見した村田(右)と拳四朗(写真/船橋真二郎)
村田は「腰が痛い」と言って笑わせた(写真/宮崎正博)
仇敵ロブ・ブラント(アメリカ)を劇的TKOに破った村田は、「朝起きたら、昨日のことが夢かと思ったが、こうして会見に出ていると、現実なんだと気づかされます」。定番のコメントも、究極のドラマの主役なら、よりリアルに聞こえる。そして、「慣れない連打をしたから、腰が痛い」と笑わせた。
「実はずっとコーヒー断ちをしていたんです。練習で集中力をマックスに持って行きたかったから。これからはゆっくりとパンとコーヒーを楽しめるかな」
安堵はさまざまな真実の語り部にもなる。
「2回のチャンスをのがしていたら、流れは変わっていたかもしれません。だから、なるべくダメージを与えておこうと。熱いなかにも冷静でした」
もちろん、次の予定はまだ立っていない。ただ、長々と休むつもりもない。「長くて7月いっぱいですね、休むのは」。真の勇者になった男の心は、すでに新しい戦いを探し始めている。無意識のままに。
拳四朗は改めてV13を目標に掲げた(写真/宮崎正博)
拳四朗はやはりいつもの拳四朗だった。昨夜の鮮烈KOの昂奮はない。爽やかな笑顔ばかりを浮かべている。
「ジョナサン・タコニン選手が強くて中に入らせてしまったが、冷静に対処できました」
そして、ペースを揺さぶりながらポイントを重ねる技巧派からの完全脱皮宣言も。
「ああいう勝ち方をすると反響が大きいですね。冷静に戦いながら倒せるボクサーになりたい」
実父でもある寺地永会長は「試合でもスパーリングでも、相手が弱いと楽をするところがある。まだまだ引き出せるポテンシャルがあると思います」と、今後も強敵を追い求める方針だ。
「指名防衛戦も統一戦もあくまで防衛戦のひとつ。目標は具志堅用高の日本記録(13度連続防衛)。でも、6度は半分もいってないんですね」
ちょっと困った顔をしてみせた拳四朗だが、その目は笑っていなかった。
前夜の喜びを分かち合う村田(右)と拳四朗(写真/船橋真二郎)
文◉宮崎正博