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2023-05-02

世界でも前例ない高橋ヒロムの夢…ジュニアの“無差別級シングル2冠王者”誕生なるか? 新日本のヘビーvsジュニア王者対決史【週刊プロレス】

SANADAと高橋ヒロム

今なお語り草となっている橋本真也vs獣神サンダー・ライガーの“ヘビー級vsジュニアヘビー級の王者対決”(1994年2月24日、東京・日本武道館)。しかし、その後、“無差別級対決”を看板にしたカードは組まれず、2000年代に入って10年以上が経過してようやく実現。暗黒時代からV字回復に向かっていくなかで組まれた。

藤波辰巳(現・藤波辰爾)がジュニアヘビー級王者だった時代は、特に階級分けされておらず、シリーズ中でもアンドレ・ザ・ジャイアントやスタン・ハンセン、タイガー・ジェット・シンなどヘビー級選手ともシングルマッチが組まれていた。しかし初代タイガーマスクがジュニア王者になったあたりから次第に階級分けされたカード編成になり、90年代に入ると6人タッグであってもほとんどジュニア戦士がヘビー級に交じって闘うことはなくなった。

トップクラスであればあるほど、ヘビー級vsジュニアヘビー級はプレミアム対決となっていった。それが解禁されたのが2009年からスタートした「旗揚げ記念日」。当初は「ニュージャパンカップ」と開催時期が重なっていたため、トーナメント公式戦がマッチメークされていたが、2013年に棚橋弘至vsプリンス・デヴィットの“無差別級対決”が組まれたのを皮切りに、オカダ・カズチカvs飯伏幸太(2014年)、オカダvsウィル・オスプレイ(2018年)がマッチメークされた。

しかしいずれもノンタイトル戦。初めてヘビー級vsジュニアヘビー級の王者対決にタイトルが懸けられたのはオカダvsデヴィットだった(2013年7月20日、秋田市体育館)。この時も、オカダは外道のIWGPジュニアヘビー級王座挑戦を交換条件にデヴィットの挑戦を受けており、SANADAが金丸義信のジュニア王座挑戦を交換条件にしたのと同様の流れだった。

記憶に新しいのは2021年の「旗揚げ記念日」(同年3月4日、東京・日本武道館)でおこなわれた飯伏vsエル・デスペラードだった。飯伏は当時、IWGPヘビー級と同インターコンチネンタルの2冠王者で、両王座が懸けられた。もしデスペラードが勝利していれば、階級を超えた3冠王者になっていた。その直後に2冠が統一されて“世界”を冠した名称に変更されたことで、アントニオ猪木が初代に就いたIWGPヘビー級最後の防衛戦となっている。

ほかに強く印象に残っているジュニア戦士の挑戦は金本浩二(2007年2月18日、東京・両国国技館)。時の王者は棚橋だった。

金本は2006年の「G1クライマックス」に2度目の出場。それ以前にもジュニア戦士としてはライガー(2度)、高岩竜一が出場しているが、ジュニア戦士としては唯一ベスト4に残り、決勝トーナメント進出を果たしている。

また両者はタッグを組んで同年の「G1タッグリーグ戦」にエントリー。蝶野正洋&中邑真輔組に敗れたものの準優勝。翌2007年にも連続出場し、最後はジャイアント・バーナード&トラヴィス・トムコ組に敗れたが、2年連続準優勝を飾っている。タイトル戦線には絡んでいないものの、タッグパートナー対決の側面もあった。

ヘビー級相手にこれほどの記録を残している金本は、70年代の藤波、80年代の初代タイガーマスク、90年代のライガーに次ぐ、ジュニアの象徴といっていいだろう。

ちなみに永田裕志が王者時代、バス・ルッテンがIWGPヘビー級王座に挑戦している(2002年7月20日、北海道立総合体育センター)。体重的にはこちらもジュニア戦士のヘビー級王座挑戦となるが、格闘家の挑戦を受けるイメージが強かったことからこの項のリストから外した。

4・27広島で金丸の挑戦を退けて“無差別級シングル2冠王者”の夢実現への関門を突破したヒロム。ジュニアヘビー級史上最強の男といわれる、あのダニー・ホッジでさえ同時に2階級のシングルベルトを保持した記録は残していない(NWA世界ジュニアヘビー級とタッグとの同時保持は成し遂げている)。2020年7月にEVILのIWGPヘビー級&IWGPインターコンチネンタル選手権に挑戦して以来2度目の“無差別級シングル2冠王者”チャレンジとなる高橋ヒロムが日本だけでなく、世界初の快挙を成し遂げるか注目される。

橋爪哲也

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週刊プロレスNo.2243 (2023年5月17日号/5月2日発売) | 週刊プロレス powered by BASE

今週号の表紙は新日本の広島大会で金丸義信を下し、IWGPジュニアV4に成功した高橋ヒロムです。5・3福岡ではヘビー級王座挑戦が決まっているヒロムが、ジュニア王者のままヘビー級王者になる夢へ向けて前進。広島大会だけでなくKOPW戦で鷹木との大激戦を制して約1年ぶりにタイチが保持者となった鹿児島大会とあわせて巻頭からリポート。世の中はゴールデンウイーク突入。プロレス界もビッグマッチラッシュとなるため、4大会の展望特集を企画。NOAH両国国技館、DDT横浜武道館、ドラゴンゲート愛知県体育館、大日本・横浜武道館。それぞれの大会のカギを握る選手インタビューなどで注目大会を占うのでGWビッグマッチ前に必読。スターダムは横浜アリーナのビッグマッチを終えて巡業スタート。ワンダー王座へ挑戦するなつぽい、新IWGP女子王者となった岩谷麻優の試合を中心に新しい流れが始まった名古屋大会を詳報。女子では鈴季すずが脱退を表明したプロミネンス後楽園、梅咲遥がWWWD王者となったディアナ後楽園大会のリポート。東京女子の鈴芽、旗揚げ2戦目を前にエボリューション女子3選手インタビューも要チェック。そのほか全日本・後楽園、NOAH後楽園、DDT大阪、大日本・山口、ドラゲー横須賀、FMWE鶴見、ガンプロ大阪、東京女子・品川など掲載。【注意】発送後の返品・返金は原則不可とさせていただきます。送料は無料ですが、第三種郵便での発送となります。約1週間でのお届けとなります。土日祝日の配送がありません。また、事前に購入されても発売日にお届けすることは、お約束できません。ご了承ください。

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