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2023-05-15

【相撲編集部が選ぶ夏場所2日目の一番】相撲巧者の遠藤を圧倒。霧馬山、大関取りへ連勝発進

突き合いの中、素早い動きで相手の左腕を手繰り、遠藤に横を向かせる霧馬山。大関取りへ、今のところ動きはいいようだ

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霧馬山(押し出し)遠藤

「きのうはちょっと攻められたけど、きょうは、立ち合いはちょっとよくなかったけど最後は落ち着いて前に攻められたのがよかった」
 
今場所、大関取りがかかる霧馬山が、過去3勝3敗の対戦成績の、相撲巧者・遠藤を圧倒した。
 
立ち合いはいつものように頭を下げて左手を出す形。見た目ではそれほど強烈に当たっている感じには見えないが、それでも押されることなく、むしろ先手を取っているところが力強い。細かい突き合いの中で、右からの突きの直後に、少し左で相手の左手を手繰って遠藤に横を向かせると、右上手に手を掛けるようにして向こう正面に一気の寄り、最後は突き放すようにして、万全の相撲で押し出した。

初日は「少し緊張があった」と、翠富士に攻め込まれて危ない場面もあった中での逆転勝ち(肩透かし)だったが、この日は強さを感じさせる内容を見せて連勝した。

「一生懸命いったんで。速い相撲が取れた。相撲内容はあまり覚えていないけど、流れで。いいと思います」と霧馬山。相撲巧者を上回る技能ぶりを発揮したこの日の相撲内容には“手応えあり”というような表情だった。

これで大関取りへ向け、快調に連勝スタート。それでも「一日一番なので。自分の相撲を考えています」と、“まだ始まったばかり。慌てなさんな”とでも言わんばかりの落ち着いた表情だ。これで少なくとも、昇進をかけた場所の大きなポイントである入りをうまく乗り切れたことは間違いない。近年大関昇進への基準としてよく言われる「直近3場所で33勝」には、これであと8勝で手が届く形になったが、そんな細かいラインの話を凌駕するような成績での昇進、という期待も膨らんでくる。次は、そうは言ってもどこかで星を落とすことはあり得るので、そのあとをいかにうまく立て直して乗り切れるか、というところがポイントになってこようが、とりあえず今のところは不安材料は感じられない。大関への視界は開けつつあると言っていいだろう。

初日は、注目の上位陣は軒並み逆転勝ち、という感じだったが、この日は横綱照ノ富士が阿炎に圧力勝ち、霧馬山以外の関脇も、若元春、大栄翔がともに力強い相撲で小兵の相手を圧倒した。豊昇龍も翠富士を突き落とし、相撲を取っての今場所初勝利。横綱と4関脇が順調に連勝スタートとなった。

カド番の大関貴景勝は、琴ノ若に寄り切られて土がつき、ちょっと前途多難を思わせるが、どうやら今場所は、番付上位の役力士同士の激しい優勝争いが見られそう。そこに元大関の朝乃山がどこまで絡んでくるか、という形の場所になりそうだ。

文=藤本泰祐

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