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2023-03-24

【相撲編集部が選ぶ春場所13日目の一番】大栄翔、盤石の突き押しで単独トップに。霧馬山ら3敗3人が追う

大栄翔は相手をよく見た落ち着きのある突き押しで明生を破って2敗をキープ、ついに単独トップに立った

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大栄翔(突き出し)明生

いよいよ単独トップだ。
 
小結大栄翔が、明生を突き出して2敗をキープ、2敗で並んでいた翠富士が豊昇龍に敗れて3敗目を喫したことにより、幕内優勝争いの先頭に立った。
 
13日目は明生との対戦だったが、盤石の突き押しで圧勝した。この日は頭からいかずにモロ手突きの立ち合い。相手の動きをよく見ていく作戦だ。突き合いになり、途中で明生が右手を伸ばして距離を変えようとしたり、右にイナしたりという動きを見せたが、よく相手を見ながらも、腰を引くことはなく相手に圧力を掛け続けて突き出した。「しっかり相手を見て攻めようと思った。考えた通りの相撲が取れた」と納得の表情だ。
 
13日目を終わり、ついに単独トップ。このあとは14日目は翠富士(確定)、千秋楽は霧馬山と、現状3敗の力士の挑戦を連続して受けることになるが、いずれも相手は勝たないと優勝の可能性が消えるので、この星1つの差はかなり大きいと言える。ちなみにこの一年の対戦成績は、翠富士とは1勝1敗、霧馬山には3勝2敗と、力関係は五分に近いので、どういう精神状態で戦えるかがカギ。「(プレッシャーは)考えずにやっています。初優勝のときほどは緊張していない」と大栄翔。受ける気持ちにならずに、攻撃的に取れれば、2度目の栄冠が近づく。

「立ち合いはしっかり当たったと思うけど、イナされて崩されて詰められちゃった」。豊昇龍に下手投げで捻りつぶされた翠富士はこれで3連敗。優勝へは明日の大栄翔との直接対決に勝つしかなくなった。立ち合いで当たり負けせず、突き合い、押し合いの中から横への動きで間合いを崩し、活路を開きたい。
 
また、3敗組では、千秋楽に大栄翔との直接対決が濃厚の霧馬山が遠藤を一蹴して1差をキープ。もちろんまず明日、若隆景に勝たなければいけないが、もしも千秋楽に大栄翔が硬くなるようなら、追うものの強みを生かせるだけの力はある力士。逆転Vを虎視眈々と狙っているはずだ。
 
そして3敗だった若元春、琴ノ若の両小結は、この日は明暗が分かれた。若元春は立ち合いやや立ち遅れて攻められたが、北勝富士をつかまえて寄り切り、琴ノ若は取り直しの末に若隆景に敗れて4敗に後退した。
 
若元春は、14日目は豊昇龍(確定)、千秋楽は琴ノ若または髙安との対戦が予想され、難敵は続くが、後半に入っての相撲は力強い。もしも優勝決定戦に持ち込めたときには、面白い存在だ。
 
横綱・大関が土俵から消え、途中までは平幕の翠富士が引っ張る形になった今場所だが、ここにきて三役陣が翠富士を3タテし、関脇・小結と翠富士による優勝争いという形には持ち込んだ。どうにか番付の権威を守った形にはなったか……。このまま行くと来場所は史上空前の6関脇(⁉)になる可能性もあるが、次期大関争いにも直結する残り2日間を興味深く見守っていきたい。

文=藤本泰祐

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