文_本間 暁 写真_小河原友信
覚悟が違った。
競技に懸ける想いはもとより、この国でボクシングが置かれている状況への危惧、そしてその打開にまで想いを馳せているようにすら感じた。
「チャンスがあれば、WBOアジアの木村(翔=青木)選手ともやりたいし、OPBF(東洋太平洋)も。でも、順番が違ってしまうかもしれませんが、日本チャンピオンには最終的に絶対なりたい。日本最強を証明したいから──」
日本チャンピオン、イコール、日本最強。
そう! そうだよな……。取材でなければ、迷いなく手のひらを差し出しただろう。いや、今風にやれば、拳を突きだしてグータッチか。
世界王座の承認団体が、かつての2団体(WBA、WBC)から4団体(プラスIBF、WBO)と増え、さらには日本王座の上位と位置付けられていたOPBFだけでなく、WBOが躍起になっているアジア戦略の地域タイトルも国内で開催されるようになった(※JBC=日本ボクシングコミッションは、開催は認めているが、承認はしていない)。
かつては通り過ぎることのできなかった日本タイトルを素通りし、OPBFやWBO・AP王座に挑戦する選手も増え、それらのランキングはおろか、世界ランクにも国内選手が多く名前を連ねるようになった。だから、ライバル同士の対戦は減り、日本王者に挑んで勝てるかどうかわからない選手が、OPBFやアジア・パシフィック王者になる機会も増えた。でも……。
古くからボクシングを愛してきたファンは、「今じゃ、東洋やWBOなんたらは、日本タイトルをやらないための逃げ道だよ」と口をそろえ、そっぽを向いてしまった。日本王座を賭けた戦いとして見たいカードは実現せず、あるいは、肩書きばかりが重くなってしまう世界戦として拳を交える。
彼ら彼女らを取り戻すためには、日本タイトルマッチの活性化が急務、と思うのだが……。
話がすっかりそれてしまったが、彼がさらりと言った言葉には、「そこまで考えてるんじゃないかなぁ」というくらいの明晰さを感じたのだ。
「日本1位の選手が、ノーランカーと戦う。気持ちの持っていき方が難しかったのでは?」
まったくの愚問だった。
「そんなことは全然ありません。富岡(哲也=REBOOT)君は強かった。今のフライ級のランカーたちよりも強いと思いますよ。それに、そこにいる宮崎(辰也=マナベ)さん、勅使河原(弘晶=輪島功一スポーツ)さん、何より自分にもノーランカー時代があって、ノーランカーの気持ちはわかってますから」
「下手な試合をできないというプレッシャーは?」
愚者がしつこく攻めると、ニッコリと笑って
「それは毎試合思ってます」
記者も完膚なきまでに倒されてしまった。
デビューから7連勝(4KO)で2012年度全日本フライ級新人王。しかし、その後、両目に網膜剥離を患い、1年半のブランク。完治後、ふたたび走り出したものの、明後日20日(土)、世界初挑戦に臨む拳四朗(BMB)のプロ3戦目の相手を務め、いいところなく7回TKOで初黒星、そしてまたしても右目網膜剥離──。
このあたりの心の葛藤は、『ボクシング・マガジン2017年3月号』の連載「ピュージリストの背骨」で山口大介さんが克明に著しているのでぜひ読み返してほしい。
味のある上下左右の打ち分け、相手を追い詰めるさま。ハイレベルな技巧派という印象が強かったが、左フックの当て勘と、確信を持ってポイントを強打する術にも心踊らされた。
実は、これまで1対1の取材をしたことがない。が、頭脳的なボクシングにはずっと前から惹き込まれていたし、愚問を発した非礼を詫びたいという思いもある。それに何より、もっともっと彼の頭の良さを引き出して、みなさんに伝えたいという気持ちが増幅した。
マナベジム所属。26歳。長嶺克則──。
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