田村 BBMの場合、発売された野球カードのタイトルは前の年とあまり変わっていなくて、全体のアイテム数もそんなに多くないんですよね。そんな中で、確かに「FUSION」も正統進化していましたけど、昨年のこの場でかなり評価した記憶があるから、今年は「GLORY」一択でお願いします。
高橋 その「FUSION」を、私は1位にさせていただきました。
佐伯 確かに、「FUSION」はよかったですよね。こちらは広い層に向けて、本当によく売れました。
高橋 カードとしての出来もすごくよかったと思います。
佐伯 6000円であの内容なら、だれも文句はないですよ。
高橋 大谷翔平選手の「PHANTOM」が入ったのも一つの売りになっていて、喜ばれたお客様も多かったんですけど、何といっても始球式カードの豪華ラインアップですよね。これはもう、普段、野球カードを買わないような層の方たちも注目されていたと思います。もちろん野球カードもしっかり作られていて、私はレギュラーカードをじっくり眺める派なんですけど、この作りも素晴らしかったです。
佐伯 どのあたりが?
高橋 裏面に年表みたいなグラフがあって、それを見ると、記録の達成年度がひと目で分かるんですよね。視覚的にも分かりやすいカードで、とてもよかったと思います。現代の選手の記録と、過去の選手の記録を照らし合わせて楽しむこともできますし、野球の辞典を読んでいるような、資料としての価値もあったと思うんです。
佐伯 そのあたりの作りはさすがBBMで、力が入っていますよね。これは使っている写真にも言えることで、やっぱり他社と比較すると、バリエーションが豊富だと思います。
田村 「FUSION」以外では、何かありましたか?
高橋 2月に発売された「ルーキーエディション」もかなりよかったと思っています。2019年のルーキーが大豊作だったということもあって、店頭でも例年以上に売れた印象がありますから。吉田輝星選手、小園海斗選手、根尾昂選手、藤原恭大選手は言わずもがな、開幕したら近本光司選手が素晴らしい活躍を見せてくれました。
佐伯 ルーキーの注目度が高いほど売れるシリーズなので、2019年は当たり年でしたね。
高橋 それ以外で言いますと、日本ハムのチーム別カード、これはBBMのほうですね。こちらも素晴らしかったと思います。
佐伯 売れ行きは、前年ほどではなかった印象はありますが。
高橋 確かにセールスは2018年ほどではありませんでしたが、デザインが素晴らしかったんですよね。レギュラーはもちろん、特に直筆サインカードのデザインが個人的に刺さりました。サブセットもよかったですし、逆に、なんでこの内容でそれほど売れなかったのかが不思議なくらいで(笑)。
田村 日本ハムについては、春は吉田輝星ですごく盛り上がっていて、いままでカードを買っていなかった東北の、ある県民のみなさんからかつてない注目が集まっているのだろうというのは、私も秋田県民として想像できました(笑)。ただ、期待されていた清宮(幸太郎)がいきなりケガをして、台湾でフィーバーが起きると思っていた王柏融も思ったほどの盛り上がりではなかったこともあり、お店としては肩透かしを食らったような印象でしたよね。
佐伯 前の年に売れたものだから、BBMも作りすぎたんじゃないですか(笑)? サインがボックス1枚確定で出なかったのが原因でしょう。生産数が多くなった分、インサートでお茶を濁したというか。
高橋 新しく投入されたインサートの「Esperanza」(エスペランサ)は、かなりカッコいいんですけどね。
田村 日本ハムについてはオッズというより、広島より値段が付く選手が少なかったということだと思います。大谷、清宮とうまく流れに乗ってきた日本ハムですけど、吉田をもってしても、その勢いをキープできませんでした。
佐伯 2020年は、かなりのテコ入れが必要でしょうね。
田村 でも、ベストアイテムのベースボールカード部門は、「ルーキーエディション」の線もありますね。これはこの後にも出てくる話なので総合して考えるべきだとは思いますが、2019年はルーキーが中心になって引っ張った年だと思うんです。その割合が非常に大きかった。
最初に騒がれていた根尾、藤原、吉田のBIG3だけではなく、実は小園が一番すごかったわけですけど、開幕まではノーマークだった近本がブレークして、PL学園高の出身という話題ばかりだったオリックスの中川圭太が交流戦で首位打者になったり、ソフトバンクの甲斐野央も優勝に大きく貢献しました。他にもオリックス1位の太田椋も開幕直前の死球骨折がなければもっとやれただろうし、楽天も辰己涼介や渡邊佳明がレギュラー級で頑張りました。カードファンが、「このルーキーがいるから今年は買っておこう」と思えるような選手が非常に多かったと思うんです。
佐伯 この先、長くチームの主力になってくれそうな、楽しみな選手が目立ちましたよね。そういう意味では、それらの選手がそろって初めて収録された「ルーキーエディション」は、確かにいいかもしれない。
田村 「ルーキーエディション」、アリだと思います。僕は直筆サインのベースボールカード部門で、2019年のルーキー直筆サインという大きなくくりを考えていたんですけど、それをこの部門で持ってきてもいいと思います。純粋に、より広い層の支持を集めたという意味でも。
佐伯 「ONE & ONLY」は後半の別部門でも名前が上がってきそうですし、高橋君、異議なしですか?
高橋 もちろんです。選んでいただいて、ありがとうございます!
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