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2023-12-13

【箱根駅伝の一番星】明大・杉彩文海が「箱根駅伝と両親へ感謝の走り」で後輩たちへシード権の置き土産を

関東インカレ1部のハーフマラソン4位の杉。前回7区で区間賞を獲得している(写真/中野英聡)

陸マガの箱根駅伝2024カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」では、出場23校の注目選手を紹介。4年ぶりのシード奪還を目指す明治大の屋台骨を支えるのが、前回7区区間賞の杉彩文海(4年)。ロードでのハイレベルな安定感を武器に、チームの“精神的支柱”としての役目を果たすつもりだ。

メリハリをつけて箱根路へ

前回の箱根で存在感を発揮した。12位でタスキを受けた時点で、10位との差は1分22秒。徐々に差を詰めて二校を抜き去り、チームをシード圏内まで押し上げ、区間歴代8位の好タイム(1時間02分43秒)で初出走ながら見事区間賞を獲得した。
だが、杉におごりや高ぶりはなく、実直かつ冷静に言葉を紡ぐ。
「区間賞を変に意識しすぎるのもよくないので、あまり考えないようにしています。ただ、区間賞を獲れたことでここまでやってこれたので、自信にする部分と、傲慢になりすぎず、謙虚にしていく部分でメリハリをつけて、箱根には臨むつもりです」

今季はチームの主軸として結果を残してきた。5月の関東インカレ1部ハーフマラソンでは、1時間03分10秒の自己記録で4位入賞。10月の箱根駅伝予選会は直前の体調不良で、一時出走が危ぶまれたものの、チーム4番手の1時間03分13秒でまとめた。その高い安定感に、山本豪駅伝監督も厚い信頼を寄せている。
「身体が丈夫でメンタルも強い。普段の練習がしっかり積めているので復帰も早いですよね。実は予選会前も大事なポイント練習で離れていたのですが、杉なら『貯め』があるから大丈夫かなと。あまり杉に対しての不安はないんです」(山本監督)
杉本人も「しっかりと4年間積み重ねてきたベースに自信を持っていて、そうした意味でレースの安定感はあるのかなと思います」と自らの強みを分析する。箱根にむけては「チームの状況によってどの区間でも行けるように」と準備しているが、往路の主要区間を担う可能性も高い。

自身に求められる役割について、杉は明確な答えを持ち合わせている。
「今年のチームは下級生が中心になるので、自分が絶対に高いレベルで安定して走ることで、下級生の奮戦を促せたら。『この区間に杉がいるなら自分がチャレンジしてもまとめれくれる』と思ってもらえるような、精神的支柱としての役割を果たしたいと思っています」

卒業後はマラソンにも挑戦したい

卒業後は三菱重工に所属予定。地元の九州に戻り、将来的にはマラソンにも挑戦したいという。

「箱根駅伝への憧れがあったから、これまで陸上競技を続けてこられた。自分を成長させてくれた箱根駅伝でいい走りをすることで、大会自体への恩返しができたらというのもありますし、大学まで競技を続けさせてくれた両親にも感謝の気持ちを持って、最後に良い走りができたらなと思っています」

感謝の気持ちを胸に、自らの走りでチームを支え、後輩たちにシード権という置き土産を残すつもりだ。

箱根での自らの役割を理解し、シード権獲得に貢献する(写真/幡原裕治)
箱根での自らの役割を理解し、シード権獲得に貢献する(写真/幡原裕治)

PROFILE

すぎ・さふみ◎2001年8月10日、福岡県生まれ。吉井中(福岡)→鳥栖工高(佐賀)。3年時の箱根駅伝で7区区間賞。今年、関東インカレのハーフマラソンで4位。予選会ではチーム4番手でフィニッシュした。自己ベストは5000m14分04秒49(大1)、10000m28分28秒94、ハーフ1時間03分10秒(共に4年)。

文/荘司結有 写真/中野英聡、幡原裕治

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