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2024-01-15

【相撲編集部が選ぶ初場所2日目の一番】左四つでの強さ見せた若元春が初金星。照ノ富士は2日目にして土

左四つからの攻めで照ノ富士を防戦一方に追い込み、寄り切った若元春。初金星で久しぶりに存在感を見せた

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若元春(寄り切り)照ノ富士

左四つになれば、その力はやはり「大関級」だ。
 
若元春が左下手と右上手を引き、相手には廻しを与えないという完ぺきな左四つの形から、堂々と横綱を寄り切った。照ノ富士からは幕内では3度目の対戦で初の勝利。ついこの間までは大関候補と言われていた力士なので、実力が三役級であるのは誰もが認めるところだが、今場所は平幕の地位に下がっていたため、30歳3カ月での初金星となった。
 
立ち合いから、横綱相手に一歩も引かなかった。突っ張りから右ノド輪、左おっつけで相手を起こし、得意の左差しに成功した。すぐに左下手、右上手に手を掛ける。一枚廻しで少し伸びる形になったため、すぐには攻められなかったものの、うまく距離を取って、自分は廻しを手にしながら相手には廻しを許さない形を作れるところはさすがに左四つの名手だ。頭をつけにいくなど揺さぶりながら、動きの中で右上手をつかみ直すと、休まず前に出て攻め切った。

「きのうの大関戦、焦りすぎてつんのめって負けているので、きょうはしっかり自分の形を作って、と思っていた。下手を取られたら終わりなので、じっくり攻めていこうと思っていました。廻しは伸びてしまったが、それはそれで出し切れたかなと」と若元春。先場所は体が万全でなかった部分もあって6勝に終わるなど、ちょっと影が薄くなりかけていたが、久しぶりに存在感を示す1勝となった。初金星には、「全然実感がないですね。たまたま役力士から落ちた場所でもありますし。三役でなくなったんで、思い切って取ろうと思って。そういうところがよかったかな」と笑顔を見せた。
 
一方、初日の好スタートから一日で暗転の形となった照ノ富士は、取組後もノーコメントを貫き、悔しそうな表情。ただ、取組後も少し右ヒザを曲げ伸ばししたり、上体を前屈させて腰の状態を確かめるような動きをしていた程度で、体に心配が出てきたわけではなさそうで、きのうからの動き自体もそう悪いわけではなく、まだそれほど心配が必要な状態とは見えない。
 
とはいえ、この時点で土がついてしまい、星勘定の上では「序盤で黒星先行」の危険をはらむ形になったこともまた事実で、実力者ぞろいの上位陣の中、まだまだしばらくは息の抜けない戦いが続くことになった。あす3日目の阿炎戦を乗り切れれば、中日あたりまではうまく進めていけそうな気もするが……。

やはり稽古量の問題はあるはずなので、この日のようにスタミナ勝負に持ち込まれる前に決着をつけていけるかがカギになるが、一方で焦りは禁物なので、そのあたりのバランスをうまくとっていきたいところだ。

照ノ富士を除く関脇以上の上位陣はそろって連勝。霧島は場所前の横審稽古総見のときに3連敗と痛い目に遭わされた髙安に圧力勝ちし、関脇陣も引き続き相手を圧する内容だ。大の里も先場所本割、十両優勝決定戦と連敗した琴勝峰に快勝して星を伸ばした。全体的な展望としては、この日で照ノ富士が優勝争いから大きく後退した分、少し霧島の横綱昇進への風が吹いてきたと言えようか。

文=藤本泰祐

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