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2024-04-24

変形性ひざ関節症教室 第32回 ひざ痛体操のすすめ③

中高年になると増えてくる変形性ひざ関節症。予防・治療で最も大切なことは、筋力を落とさない、体重を増やさない、関節を硬くしないように、日々適切な運動を行うことです。連載32回目は「ひざ痛体操」(運動療法)の有酸素運動を紹介します。ひざの名医である田代俊之ドクターがひざの痛みに対してなぜ有酸素運動が重要なのかをわかりやすく解説します。

 ひざ痛体操の「有酸素運動」

 ひざの痛みに対する運動療法としては、まず手軽に行えるウォーキングが推奨されます。歩いてひざを動かすことは、ひざに酸素や栄養をしっかり供給することになります。また、足腰の筋肉を鍛えることになりますし、全身運動なので体重を減らす効果も期待できます。

 勤務先の病院で「中高齢者のひざ教室」を開催していますが、参加者の方からよく「どの程度歩けばよいのですか」と質問されます。その質問には、痛みのない程度に歩いてくださいと答えています。

ひざが痛いのに、無理に歩き続けるのは禁物です。かえって軟骨を傷めてしまいかねません。何歩歩けばよいのかは、変形性ひざ関節症の進行具合やそのときのコンディションによって変わります。運動療法の効果が現れてくれば、自ずと歩ける距離も増えてきます。

 ひざが痛くて外は歩けないという人は、家の中で足踏みをすることから始めてみましょう。また、体力維持やダイエットを目的とする場合は、水中ウォーキングがお勧めです。水の中では浮力があり、ひざに加わる負担が減り、ひざにやさしく全身運動ができます。
 
ウォーキングのアドバイス

 ウォーキングの前には軽く準備運動を行うとよいでしょう。靴や歩く道にも留意しましょう。

◎準備運動…歩く前に軽く屈伸やストレッチをしましょう
◎靴…クッション性が高く、安定しているウォーキング専用の靴をはきましょう。
◎道…道をぶらぶら歩くもの楽しいですが、アスファルトではなく公園や遊歩道のなどの柔らかい路面の道はひざに負担が少なく歩けます。
◎時間…夏などは暑いと熱中症の危険が高まります。暑い日中は避け、水分補給をしっかり行いましょう。

 
 

モデル:丸岡雅子



著者プロフィール◎田代俊之(たしろ・としゆき)さん
JCHO東京山手メディカルセンター整形外科部長
1990年山梨医科大学卒業後、東京大学整形外科入局。東京逓信病院、JR東京総合病院勤務をへて、2014年に東京山手メディカルセンターへ。2017年4月より現職。ひざ関節の疾患を専門とし、靭帯損傷、半月板損傷、変形性関節症などについて、長年にわたって幅広く対応している。2004年より中高齢者に向けたひざ痛教室を毎月開催している。日本整形外科学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター。陸上競技実業団チーム(長距離)のドクターも務める。

この記事は、ベースボール・マガジン社の『図解・即解!基礎からわかる健康シリーズ 変形性ひざ関節症』(田代俊之著、A5判、本体1,500円+税)からの転載です(一部加筆あり)。 Copyrightⓒ2022 BASEBALL MAGAZINE SHA. Co., Ltd. All rights reserved.

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