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2024-03-19

大日本勝負の3・20後楽園を前に、塚本拓海が石川勇希にメッセージ「答えなんて、求めなくていい」【週刊プロレス】

王者の石川(左)と塚本

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3月20日、大日本が東京・後楽園ホールでBJW認定デスマッチヘビー、BJW認定世界ストロングヘビーの2大タイトルマッチをおこなう。ストロングは王者・青木優也8度目の防衛戦で、相手は野村卓矢。メインイベントで、デスマッチ王者・石川勇希に挑むのが、BASARAの塚本拓海だ。形式は蛍光灯&レモン&ソルトデスマッチで、今回は塚本が挑戦に名乗りを挙げる形で石川戦が決まった。

 石川は2019年にもともと志していたデスマッチの世界に足を踏み入れるも苦闘が続き、デスマッチ初勝利には1年1カ月かかった。その後も浮上できずにいたが、次第に実力をつけ昨年7月、アブドーラ・小林を破りデスマッチヘビー初戴冠。大日本デスマッチの景色を変える王座交代劇となり、その後、4度の防衛に成功。12・30後楽園でマッドマン・ポンドに敗れるも、年頭の1・4新木場でリベンジを果たし、再びデスマッチのベルトを巻いた。今回はその初防衛戦にして、初めて過去にデスマッチヘビーを巻いた元王者の挑戦を受けることになる。

 塚本も大日本所属時代にデスマッチを始めた当初は苦悩が見え隠れするファイトが続いていたが、退団してBASARAに入団し、その後は竹田誠志との“クレイジーラバーズ”を結成。デスマッチヘビーも巻き、いまでは狂乱のデスマッチを繰り広げる殺気立った己のスタイルを確立した。年末年始、ポンドと石川の闘いを見て、塚本はこんな印象を抱いていた。

「本当に昔の僕を見ているような感覚。答えなんて求めなくていいのに、そのちょっと先にある手の届きそうな答えを見つけようとしちゃっている。ガムシャラさはわかるけど、きれいに物事を取りに行っているように映るというか。本当に、一昔前の僕を見ている感じですよね。僕はそこで『このままじゃダメだ』という考えではなかったけど、もっと先を見据えて、これから10年、20年とプロレス、デスマッチをやっていくと考えたら、少し先の答えみたいのは別にいまは必要じゃないと思う。もっと荒れ狂った石川勇希を見たい、というのは本音ではありますよね。じゃあ石川に足りないものは何かと言われても僕はわからない。学校の先生でもないですし、教える立場でもない。ただ、イメージとしては“スタイルのいいプロレス、デスマッチをやっている”というのは感じますね」

 塚本は石川に“人間”が見えない、とも感じていた。だが、幾度も闘いを重ねながら石川の変化を感じ取り、自ら挑戦を名乗ることになる。カードが発表された会見で、塚本はこう言った。

「彼は『素の石川勇希を出し切れていなかった』と言っていたけど、目とか感情とか、人間的なものが少しずつ変わっているのかなというのを感じて。最近試合をするなかで、それを強く感じた。もともとデスマッチヘビーというベルトには興味があったけど、石川勇希に興味がなかったので、ベルトに挑戦するという気にはならなかったんですよ。だけど『ベルトに興味はある。石川勇希に興味がある』…挑戦しなきゃなとなった」

 本当はタイトルマッチまで対戦せずに一発勝負のワクワク感で勝負したかった塚本だが、さらに闘いを4試合石川と重ねて、また感情は変わった。

「ポジティブに考えれば、彼の変化を感じられている4試合だった。タイトルマッチまで、彼がどうモチベーションを上げてくるのか。この4試合の状態で来てもらうのも、ちょっと物足りないなというところが正直ある。悪く言えば、いつも通りの感じの気迫とテンション。ただ、自分と殺り合うとなると、彼の目が変わっているのはたしかなので、そこを楽しみにしたい。いい意味で、変化しているんじゃないですか? 彼もこれ以上僕に負けたくないと、いろいろ追い詰められてるかもしれないし、それを力にしているかもしれない。だけど、自分のなかでは、簡単にはいかないけど、それを超えて、エンジョイして勝つ。彼も強いからね。強くなっているのは感じますよね」

 たしかに強くなってはいる。でも、さらに先の闘いを見せる必要がある。塚本は、それがいまの石川の状態だと考えている。王者にとっても、塚本との防衛戦はプロレス人生のターニングポイントになる可能性が高い。塚本が己のスタイルを確立したように、いまの石川は誰とも違うプロレスラー像を構築している最中。もし、まだ見ぬ“人間”が石川のなかから飛び出したら――。

 もちろん、塚本はそういう石川と闘ったうえでベルトを取り、再びデスマッチの頂点に立とうとしている。譲れぬ2人の勝負で、大日本の後楽園を爆発させてほしい。

<週刊プロレス・奈良知之>

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