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2024-04-18

曙追悼…元横綱が「レッスルマニア21」で体感したWWEの姿勢(2)伝統を大切にするビンス・マクマホンが開いたプロレスへの扉【週刊プロレス】

浴衣姿で土俵に上がった元横綱・曙(撮影ジョージ・ナポリターノ)

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2005年、「レッスルマニア21」でビッグ・ショーとの相撲マッチをおこなった曙太郎。最大の課題だった行司問題も思わぬルートでクリア。プロレスのリングでありながら本格的な相撲を披露することにこだわったWWEの姿勢の裏には、曙、そして日本の伝統である大相撲へのリスペクトがあった。その思いに包まれたことで、曙は本格的にプロレス転向の道へ踏み出した。(文中敬称略)

     ◇      ◇      ◇

相撲マッチを実現するにあたってもっとも頭を悩ませたのは行司の問題。WWEはあくまで本格的な相撲をアメリカのファンに提供する姿勢だっただけに、所属レフェリーに衣装を着せて裁かせるといったこともできない。

特設土俵に上がったのは50代とおぼしき、どう見ても日本人らしき人物。呼び出しも兼ねて両者を紹介する姿も様になっている。大会翌日、曙に尋ねたところ、アメリカ在住でアマチュア相撲の大会で行司を務める人物だというのだ。それも曙が紹介したわけでなく、WWEが探してきたとのこと。

舞台は整った。2度、3度と仕切りをおこない、軍配が返る。体格では曙を上回るビッグショーだが、相撲の実力では元横綱には遠くかなわない。曙は瞬間で勝負を終わらせることなく、突っ張りや四つに組んでの押し相撲で見どころを演出。エキシビション的な内容だったが、わずか1分ほどの一番で相撲のあらゆる要素をアメリカのファンに披露した。

過去に大相撲協会ではハワイを中心にロサンゼルス、サンノゼ、ラスベガス、ニューヨーク、バンクーバーなど北米で海外巡業、海外公演をおこなっているが、協会を抜きにして広く一般に相撲をお披露目したのは「レッスルマニア21」が初めてだろう。曙自身、「相撲に興味がない人にも知ってもらえただろうし、いろいろとありましたけど、これで少しは相撲協会に恩返しできたかなと思います。ここまでこだわって本格的な舞台を整えてくれたWWEには感謝してます」と語った。それまでK-1では戦績が振るわず、どちらかといえば暗い表情が多かった曙だが、この時ばかりは満足そうな笑顔を見せていた。

1984年、全米に侵攻してからのWWE(当時はWWF)は、トリプルスレットマッチやロイヤルランブル、ヘル・イン・ア・セル(天井付き金網マッチ)、イリミネーション・チェンバーなどエンターテインメント色を強めて従来のプロレスをぶち壊すイメージが強いが、一方で伝統的なプロレスを大事にする姿勢も崩していない。それもまたビンス・マクマホン代表のこだわり。

「レッスルマニア21」で初めてプロレスのリングに上がった曙は、同年のWWE日本ツアー(7月2日、さいたまスーパーアリーナ)に特別参戦してビッグショーとタッグを結成している。それを経て、本格的にプロレスラーに転向。その意味でも、曙に対してプロレスの扉を開いたのはビンス・マクマホン代表だったと言えるだろう。

橋爪哲也

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週刊プロレスNo.2297 (2024年5月1日号/4月17日発売) | 週刊プロレス powered by BASE

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