Xリーグは10月15日、エキスポフラッシュフィールド(大阪府吹田市)で、第5節のパナソニックインパルス対オービックシーガルズの一戦が行われ、パナソニックがQBベンジャミン・アンダーソンの活躍などで、オービックの追い上げをかわして、16-13で勝利した。パナソニックは東西18チームで唯一の5戦全勝で、レギュラーシーズンの2位以上が確定した。敗れたオービックは3勝2敗となった。
【パナソニック vs オービック】パナソニックQBアンダーソンが、オービックDLビーティー・ジュニアを力強いスティッフアームで寄せ付けず、ランでファーストダウンを奪う
雨中の激戦をパナソニックが制した。第1クオーター6分、オービックのパントの場面を、ノーブロックで入り込んだパナソニックDB小池直崇がオービックP長尾健をタックルし、相手陣38ヤードからのオフェンスとなる。このチャンスにパナソニックQBアンダーソンが右サイドを突いて38ヤードを走り切って先制のタッチダウン(TD)を挙げる。パナソニックは第2クオーター1分にも、K佐伯栄太の26ヤードフィールドゴール(FG)で3点を追加、さらに残り2分余りからのオフェンスシリーズでは、37ヤードを進んでレッドゾーンまで侵入するが、アンダーソンがファンブルろすとし、無得点。9-0で後半へ折り返す。
後半、開始のプレーで、オービックWR木下典明が90ヤードのキックオフリターンTD、オービックが勢いを取り戻す。8分には、途中から交代出場のQBイカイカ・ウーズィーからWR萩山竜馬に28ヤードのTDパスが通って、13-9と逆転する。しかしパナソニックは直後のドライブでアンダーソンがWR頓花達也に41ヤードのロングパスをヒットして一気にレッドゾーンに攻め込むと、「アンダーソン・頓花」のホットラインで7ヤードのTDパスが決まり、パナソニックが16-13と再逆転する。
第4クオーター残り4分を切ったところで、パナソニックがパント処理を誤ってオービックにリカバーされるが、ディフェンス陣が耐えて、ボールを進ませず、オービックK星野貴俊の48ヤードFGは、距離が足らずに失敗する。残りタイムアウトを使ってパナソニックのオフェンスを止めて最後の攻撃に掛けたいオービックだったが、パナソニックRB横田惇が31ヤードの快走でファーストダウンを奪って、試合を決めた。
共に強力なDLを持つ両チームだが、ライン戦での反則が勝負を分けた。オービックは勝負所のランプレーで計5回(OLが3回)ホールディングの反則を取られ、オフェンスのリズムを失った。反対に、パナソニックが取られたホールディングは1回で、レシーバーによるもの。OLのホールディングはゼロだった。
【パナソニック vs オービック】パナソニックOLのブロックでゲインするQBアンダーソン
【パナソニック vs オービック】パスを決めるパナソニックQBアンダーソン
【パナソニック vs オービック】第4クオーター、パナソニックQBアンダーソンが、ラッシュしてきたオービックDL仲里を振り切ってファーストダウンを奪う
断続的に強い雨が降り続いたエキスポフラッシュフィールド。水はけの良いフィールドにところどころ水たまりができるほどの悪条件だったが、パナソニックが力の勝負を制して、昨年ジャパンXボウル(JXB)トーナメント準決勝で敗退した借りをオービックに返した。
主役となったのは、QBアンダーソンだ。第1クオーター、味方のビッグプレーで好位置から始まったオフェンスで、38ヤードのTDランで先制。その後もコンスタントにボールを持って走り、オフェンスのリズムを維持した。17回のランの中で、5ヤード以上が11回、15ヤード以上が4回と、QBへのプレッシャーではリーグ最強クラスのオービックDLを手玉に取った。プレッシャーをかけられてからが強く、QBサックかと思われた地点から、ランニングレーンを探しファーストダウンを奪うシーンも見られた。
アンダーソンはパナソニックでは1年目だが、日本でのプレーは2年目だ。2015年にノジマ相模原ライズに加入し、ランとパスのデュアルスレットQBとしてプレーした。パス・ランともに時として光るものを見せたが、再建途上だったノジマ相模原の中で十分な活躍ができたとは言い難い。シャイな性格なのか、サイドラインでは、あまり他の選手と会話を交わすこともなく、1人で佇む姿が印象に残っていた。
アンダーソンは、この試合を「グッドゲームだった。両チームとも、とてもよく規律されていて、ターンオーバーもなかった。ほんとうに偉大なゲームだった」という。アンダーソンは、ノジマ相模原時代にオービックと対戦しているが「KJ(ケビン・ジャクソン)やBJ(バイロン・ビーティー・ジュニア)ら強い選手がいて、本当に強いディフェンス、強いチームだ。だから、我々も強いライン、強いディフェンス、強いランゲームで戦う必要があった」。何度もストロングという言葉を繰り返したのが印象的だった。
大学時代は FCS(Div.1AA)のアーカンソー大パインブラフ校で、4シーズンで9488ヤード68TDのパス、2004ヤード23TDのランという成績を残したQBだった。ただ、ルイジアナ工科大のコービー・キャメロン(富士通)、UCLAのケビン・クラフト(IBM)、ミシガン大のデビン・ガードナー(ノジマ相模原)といった、Div.1Aの強豪校でスターターを張っていた他チームのエースに比べると、派手さや目に見えるようなリーダーシップはない。
Xリーグの場内実況放送でもおなじみの辻豊人さんから、ノジマ相模原時代のアンダーソンについて、こんな思い出を聞いたことがある。「彼は本当に優しい男。試合後、女子マネージャーが、スポーツドリンク用のタンクを流し場で洗っていたら、声をかけて手伝おうとしていた。そんなことをする選手は、見たことがない」。
大阪という街をどう思うかと尋ねたところ、アンダーソンは、何度も「I Like OSAKA」と繰り返した。「東京は、例えればニューヨークだ。何もかもがとても早い。人と知り合いになるのも難しい。大阪は皆いい人ばかりで、とても過ごしやすい」。インパルスについても「ファミリーのように感じている。カレッジ時代を思い出す」と、合流して半年余りですっかりチームに溶け込んでいるようだ。
パナソニックのオフェンスは、長年にわたって、日本フットボール史上屈指のデュアルスレットQBである高田鉄男が中心だった。元々デュアルスレットQBは、リクルーティング力に差のあるNCAAで今世紀に入り発達してきた側面もある。戦力の揃った強いチームに向いたQBだと言ってもよい。
パナソニックは今季のメンバーも、強いRB(横田、藤本拓弥、須賀大瑛)、速いWR(頓花、木戸崇斗、小山泰史)といった面々が揃っている。さらにOLも、2年連続オールXのCエドモンド・デービスを始め、優秀な人材が揃う。アンダーソンは良いチームに入った。というよりは、パナソニックが良い選択をしたと言える。2度目の日本で真価を発揮しつつある好青年は、次は古巣・ライズとの対戦に闘志を燃やしている。【小座野容斉】
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