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2024-05-22

変形性ひざ関節症教室 第33回 食事で体重をコントール

 中高年になると増えてくる変形性ひざ関節症。肥満はひざ痛の原因の1つです。肥満の人は体重を落とすだけでひざへの負担が軽減します。連載33回は食事で体重をコントロールする方法のポイントを紹介します。ひざの名医である田代俊之ドクターがわかりやすく解説します。

肥満は変形性ひざ関節症の原因

 肥満は変形性ひざ関節症の原因の一つです。肥満のためにひざへの負担が大きい人は、運動療法と同時に、食事で体重をコントロールすることも重要です。

 体重を増やさないためには、摂取エネルギーを抑えることが大切です。しかし、むやみに食事量を減らさない。食事量を極端に減らせば、必要な栄養素までも減らしかねません。栄養不足になると、筋肉が減少したり、骨がもろくなる骨粗鬆症になったり、免疫力が低下して病気にかかりやすくなったりします。


 食事は、特に筋肉を生成するタンパク質(豆・、魚・肉など)をしっかり摂取しましょう。糖質(炭水化物や甘いもの)や脂質をやや少なくし、野菜は積極的にとるように気をつけましょう。

 若いころは洋食中心だった人も、年を重ねるに従い、こってりした食事より和食を好むようになりがちです。これはひざにとってとてもよいことです。変形性ひざ関節症が進行して手術が必要になった方の多くは、糖尿病も合併しています。メタボとロコモは関連していると考えられています。

ダイエットのコツ

 まずは、自分の標準体重を知ることが大切です。肥満度を表すBMIという指標があります。計算式は、BMI=〔体重(㎏)〕÷〔身長(m)の2乗〕です。BMI18.5~25未満が普通体重、25以上は肥満です(肥満度判定の表参照)。BMI22前後の人が病気の発生率が低いといわれています。BMI22の体重を標準体重として、どのくらいオーバーしているのか調べて、ダイエットの目標としてみましょう。

 体重を減らす考え方の基本は、摂取エネルギーよりも消費エネルギーが多くなるような食事と運動を心がけることです。短期間で急激に減らす必要はありません。1カ月に1~2㎏の体重減を目安に取り組みましょう。

【食事のポイント】
①食事は栄養が偏らないように、バランス良くとりましょう。

②1日3回規則正しくとりましょう。間食や寝る前の食事は控えましょう。



プロフィール◎田代俊之(たしろ・としゆき)さん
JCHO東京山手メディカルセンター整形外科部長
1990年山梨医科大学卒業後、東京大学整形外科入局。東京逓信病院、JR東京総合病院勤務をへて、2014年に東京山手メディカルセンターへ。2017年4月より現職。ひざ関節の疾患を専門とし、靭帯損傷、半月板損傷、変形性関節症などについて、長年にわたって幅広く対応している。2004年より中高齢者に向けたひざ痛教室を毎月開催している。日本整形外科学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター。陸上競技実業団チーム(長距離)のドクターも務める。


この記事は、ベースボール・マガジン社の『図解・即解!基礎からわかる健康シリーズ 変形性ひざ関節症』(田代俊之著、A5判、本体1,500円+税)からの転載です(一部加筆あり)。 Copyrightⓒ2022 BASEBALL MAGAZINE SHA. Co., Ltd. All rights reserved.

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