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2024-06-05

変形性ひざ関節症教室 第34回 健康食品・サプリメント

中高年になると増えてくる変形性ひざ関節症。ひざの痛みを改善するとうたう健康食品やサプリメントが販売されていますが、本当に効くのでしょうか。連載34回は健康食品・サプリメンについて、ひざの名医である田代俊之ドクターが解説します。

予防・治療への効果の証拠は限定的

 グルコサミン、コンドロイチン、ヒアルロン酸などのサプリメントが多数市販されています。これらは軟骨の成分ですが、栄養を摂取すれば軟骨が増えるという単純なものではありません。

 現時点で、これらが医学的に軟骨を増やし、変形性ひざ関節症の予防・治療に効果的であるという証拠は限定的です。

 変形性ひざ関節症で軟骨が減る問題は、むしろ軟骨自体の代謝過程に問題があると考えられています。一般的にサプリメントとして販売されているものの多くは、科学的データとして有効性が認められていないために、医療保険では認められていません。そのため栄養補助食品という扱いになります。

 しかし、まったく効かないというデータもありません。比較的早期で、若くて代謝がいい時期、また個人差などで効果がある可能性は否定できません。現在の段階では自己責任での利用になりますが、今後の研究などが待たれます。なお、グルコサミン、コンドロイチンは抗血栓薬のワーファリンと相互作用を起こす危険がありますので、利用する際には注意してください。



プロフィール◎田代俊之(たしろ・としゆき)さん

JCHO東京山手メディカルセンター整形外科部長
1990年山梨医科大学卒業後、東京大学整形外科入局。東京逓信病院、JR東京総合病院勤務をへて、2014年に東京山手メディカルセンターへ。2017年4月より現職。ひざ関節の疾患を専門とし、靭帯損傷、半月板損傷、変形性関節症などについて、長年にわたって幅広く対応している。2004年より中高齢者に向けたひざ痛教室を毎月開催している。日本整形外科学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター。陸上競技実業団チーム(長距離)のドクターも務める。

 

この記事は、ベースボール・マガジン社の『図解・即解!基礎からわかる健康シリーズ 変形性ひざ関節症』(田代俊之著、A5判、本体1,500円+税)からの転載です(一部加筆あり)。 Copyrightⓒ2022 BASEBALL MAGAZINE SHA. Co., Ltd. All rights reserved.

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