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2024-05-19

【相撲編集部が選ぶ夏場所8日目の一番】巨体をひらり。大の里、大栄翔との1敗対決に勝ち、宝富士とトップ並走

巨体をひらりとかわし、大栄翔を叩き込む大の里。デビュー7場所目での初優勝の快挙に向け、また一つ関門を突破した

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大の里(叩き込み)大栄翔

この日はいつもの馬力相撲ではなく、牛若丸のごとくひらりと身をかわして、白星を手にした。
 
大の里が大栄翔との1敗対決を制した。一方で、ほかに4人いた1敗力士の中で、この日白星を挙げたのは宝富士のみ。いよいよトップは2人並走と絞られてきた。
 
この日、大の里と1敗対決を繰り広げた大栄翔は、先場所負け越して平幕に下がってはいるが、それまでは6場所連続で関脇を務め、大関争いを繰り広げていた実力者。幕内優勝の経験もあり、大の里にとって、残りの対戦相手の中では大きな関門の一つと言えた。大の里は下から突き押しで攻めてくる阿武咲を苦手としているだけに、タイプの近い大栄翔に対してどう取るかが注目された。
 
立ち合い、大の里はいつものように右胸から当たって捕まえにいったが、これは大栄翔も想定内で、左からおっつけてはね上げ、差し手を許さず。そのあと大栄翔は右から左と突いて出て、大の里の体を起こしたかに見えた。ここぞと出ていく大栄翔。しかし次の瞬間、大の里があの大きな体でひらりと右に回ると、目標を失った大栄翔は西土俵につんのめった。

「(流れは)悪くなかったんですけどね。もうちょっとしっかり相手を見て攻めていかないと。最後まで気持ちをブラさずにいかないといけないです」と大栄翔。今場所は下からうまくあてがわれた先場所よりは手応えのある突きが出たように思うが、最後は先場所も同じ方向に回られて叩き込まれているだけに、今後の対戦に向けては何か考える必要がありそうだ。

「体が起きないように意識してやりました。下半身で受けにいった」と大の里。多少起こされたようにも見えたが、本人の中で余裕があった分、最後の軽い動きが可能になったのかもしれない。あるいは大栄翔は、連敗している阿武咲ほどは低くなく、押しというよりは突きが主体で、常にある程度の空間が相手との間にできるので、完全にのけぞる形にさえならなければ、様子を見てかわす、ということがやりやすい部分があるのかも。
 
この日を終え、2人に絞られたトップ走者の一人となった大の里。さらに優勝候補本命という色が濃くなってきたが、この後を考えても、後半戦に星を崩してしまう可能性は低い。小結という地位で、前半から上位戦を多く消化しているだけに、ある程度以上、土をつける可能性のある相手が、もう残り少なくなっているのだ。
 
豊昇龍、阿炎、宇良、そして苦手としている阿武咲。ざっと見た感じではそんなところだろうか。もちろん幕内上位の力士は皆、力を持っているので、隙を見せればそれ以外の力士に落とすこともあり得るが……、情勢としては、デビューから7場所目の幕内優勝の可能性が日に日に増しているのは間違いのないところ。果たしてこのままあれよあれよと先頭で走り切ってしまうのか。むしろ、先輩力士の意地も、もうちょっと見せてもらいたいという気がしないでもない。

文=藤本泰祐

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