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2018-02-11

プレースピードも「五輪モード」に。スマイルジャパン、次戦こそ勝利を。

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2ピリ後半に浮田が同点ゴール! 時間帯もよく、気分よく3ピリを迎えたのだが…。次戦、浮田が反則でサスペンションを食らったのは痛いが、逆に、この事態をチームがまとまる良薬にしたい。
Ice Hockey - Winter Olympics Day 1
GANGNEUNG, SOUTH KOREA - FEBRUARY 10: Rui Ukita #15 of Japan celebrates with teammates after scoring a goal in the second period against Sweden during the Women's Ice Hockey Preliminary Round - Group B game on day one of the PyeongChang 2018 Winter Olympic Games at Kwandong Hockey Centre on February 10, 2018 in Gangneung, South Korea. (Photo by Bruce Bennett/Getty Images)

 これが五輪モードの戦いの怖さだ。2月10日、韓国・江陵で予選リーグ初戦を戦ったスマイルジャパン。1ピリ、3ピリと各ピリオドの序盤に失点し、2ピリに1点は返したものの1-2でスウェーデンに屈した。

 試合の立ち上がりから、日本のリズムでゲームを進められなかった。スウェーデンのF1、F2の速いプレッシャーに遭い、Dゾーンからパックアウトできない。開始2分、左コーナーからのパスをゴール前でたたかれ、これからいったい何点取られるのかという悪い出足。それでもピリオド後半になるとスウェーデンのエネルギーが落ち、日本がエントリーする機会が増えてくる。守っては藤本那菜の好セーブもあり、0-1のままピリオド終了。2ピリ16分には相手ゴール前にパックを集め、最後は浮田留依が押し込んで同点とした。「よし、いける」。そんないい雰囲気で迎えた3ピリだったが、またもピリオド開始1分で失点。結局、この2点目が勝敗を分けた。

1ピリオド18分、大澤が左レーンをドライブし、DFの股間を抜いてシュートを放つも得点ならず。味方がゴール前に詰めていればと思わせたが、守りに神経と体力を使わされたぶん、選手の疲労が倍加した
Ice Hockey - Winter Olympics Day 1
GANGNEUNG, SOUTH KOREA - FEBRUARY 10: Chiho Osawa #12 of Japan skates against Fanny Rask #20 of Sweden during the Women's Ice Hockey Preliminary Round - Group B game on day one of the PyeongChang 2018 Winter Olympic Games at Kwandong Hockey Centre on February 10, 2018 in Gangneung, South Korea. (Photo by Ronald Martinez/Getty Images)

 強豪スウェーデンを相手に、試合の進めようによっては勝てたのではと思わせる内容は、スマイルの成長を感じさせた。しかし、ここを改善しないと五輪初勝利はおぼつかないと感じさせるポイントもいくつかあった。

 まずはプレースピード。試合前日の練習を見ていて、まず目についた部分だ。D-D、またはD-D-Dのパスで相手のフォアチェッカーを揺さぶり、前方につなごうとする意識は強く感じるが、パスを受けてからパス出しまでに、どうしても一拍置いてしまう。一方で、ワンタッチのパス、あるいは速いパスの時にレシーブミスが出る。ベテランの久保英恵は「今日はつなぎがうまくいかなかった」と話したが、練習の時以上にパックのスピードが上がり、サイズで上回る相手がチェックに来ることで、Dゾーンで普段以上のプレッシャーがかかっていた。

藤本の好セーブは、次戦へ向けての好材料。2失点はいずれも相手を誉めるべきシュートだった
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GANGNEUNG, SOUTH KOREA - FEBRUARY 10: Nana Fujimoto #1 of Japan looks on against Sweden during the Women's Ice Hockey Preliminary Round - Group B game on day one of the PyeongChang 2018 Winter Olympic Games at Kwandong Hockey Centre on February 10, 2018 in Gangneung, South Korea. (Photo by Bruce Bennett/Getty Images)

 試合への入り方も次戦への宿題だ。日本の球技全体にいえることだが、試合開始の笛から動きがMAXに至るまで時間を要する。スウェーデンにもそこを突かれた。「1ピリ、私たちのファーストシフトからいい流れを持ってこられなかった。それが失点につながった」と大澤ちほ主将。確かに1ピリの前半は、かわいらしいウサギ(日本)を襲う獰猛な虎(スウェーデン)という図式を想起させた。

 山中武司監督は、「Dゾーンではもっとシンプルなプレーをするべきだった」と1失点目を振り返った。ただ、チップボードで危険を回避しても、パックはニュートラルゾーンで相手に渡る。Dゾーンで守って、守って、ようやくパックを奪っても、パックキャリアが単独でドライブするだけで、守りで疲弊したF2、F3がついてこられず、攻めに厚みが生まれない悪循環を生んだ。

 深刻なのは、1月下旬の壮行国際大会から続いているPP成功率の低さだ。試合前日の練習で山中監督は「やることは十分やってきたし、相手チームがスカウティング(偵察)している可能性もある。手の内を見せることはない」とPPのメニューをあえて組まなかった。スウェーデン戦は4度のPPで無得点。立て直しは急務だ。

くしくも試合前日の練習で大澤主将は「立ち上がりがすべて。試合開始の5分、各ピリオドの開始5分にすべてをかけたい」と話していた。男子の早稲田大ではないが、スイス戦こそ「いいスタート」を心がけたい
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Ice Hockey - Winter Olympics Day 1
GANGNEUNG, SOUTH KOREA - FEBRUARY 10: Team Japan bows after being defeated by Team Sweden 2-1 in the Women's Ice Hockey Preliminary Round - Group B game on day one of the PyeongChang 2018 Winter Olympic Games at Kwandong Hockey Centre on February 10, 2018 in Gangneung, South Korea. (Photo by Bruce Bennett/Getty Images)

シュート数は日本が31で、スウェーデンは26。スウェーデンのスタイルは、2度の得点シーンが物語るように、速いパスを回して最後は正面からシュート、あるいは速いパスを回すことで相手DFを引き寄せ、ゴール前にできたスペースにシューターが飛び込むという、フィジカル勝負を避けたい日本にとってとても参考になるものだった。前述したようにGK藤本那は当たっており、初戦特有の重さ、固さも経験できた。見直すべきところは見直し、次戦までにいい「悪あがき」をして、12日のスイス戦こそ五輪初勝利を、そして心からのスマイルを見たい。

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