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2024-08-20

【陸上】インターハイ女子円盤投2位の中京大中京高・成田沙穂 仲間の思いも乗せてチームに持ち帰った7点

女子円盤投で2位に入った成田(写真/宮原和也)

7月28日から8月1日までの5日間、福岡・博多の森陸上競技場で行われた陸上競技のインターハイ。大会3日目に行われた女子円盤投は世古櫻紗(松阪商高3年・三重)が45m60で制し、2位に成田沙穂(中京大中京高3年・愛知)が続いた。

サブ種目の円盤投で挑んだ最初で最後のインターハイ

成田は予選で全体トップの43m00をマークすると、決勝は2投目に44m72を投げ、6月の東海大会で出した39m95の自己記録を5m近くも更新。大会前のランキング19位から躍進を見せた。

「40m超えの記録を持っている選手が多く、入賞は難しいかと思いましたが、気持ちをポジティブに切り替えて、チャレンジャーとして挑みました。自分が想定していた以上の、大幅な自己ベストが出て良かったです」

昨季はケガに悩まされ、北海道インターハイにはサポートで帯同。3年目にして初めてのインターハイ出場ながら、銀メダルに輝いた。

成田のメイン種目はやり投だ。冬期には中京大・田内健二コーチの指導のもと、技術改善や筋力アップに取り組み、自信を持って今シーズンを迎えた。5月初旬の愛知県名南支部予選で砲丸投に出場した際に、靭帯を軽く損傷するアクシデントはあったが、2週間後の県大会では自己新の50m21をマークした。

ところがその後、肩を痛め、6月の東海大会は41m37で8位。全国ランキング1位に立っていた本命のやり投で、福岡インターハイ出場を逃したのだった。中京大中京高の岩﨑万知先生は、「言葉には出しませんでしたが、肩が痛かったのだと思います。心配性なところがあるので、硬くなってしまったのでしょう」とおもんばかった。成田自身は、落選したこと自体はもちろん、試技中に左足の三角靭帯を痛めたことで、「技術が上がっても、筋力がなければ勝てないのだ」と落ち込んだという。

それでも、前日には円盤投で福岡行きを決めていた。岩﨑先生からは、「気持ちを切り替えるのは大変かもしれないけど、インターハイという高校生にしかない舞台に、サブ種目で出場できることに自信を持つように」と励まされ、会場に来ていた北村肇・前監督からも「成田はまだ終わりではない」と激励を受け、前を向いた。三角靭帯は3週間から1カ月は安静と診断されたが、「回復力が自分の取り柄」と治癒に努め、できる練習を積み重ねてインターハイに間に合わせた。

円盤投が行われた3日目には、入賞候補だった800mの冨澤茉那(2年)、走幅跳の水野文由里(3年)が決勝に進めず。「泣きながら戻ってきた2人を見て、1点でも多く取って、絶対にチームに貢献しないといけないと思いました」と、仲間の想いも円盤に乗せた。目指していた総合優勝は果たせなかったものの、成田が獲得した7点はチームにとって価値ある得点となった。

岩﨑先生は「長い競技人生を考えれば、やり投で日本を背負って立つ選手になると信じているので、今回の経験が生きるように私たちもケアしていきたい」と、将来に期待を寄せる。今季、高校生で50mを超えているのは成田のみ。まだ万全の状態でやりを投げることはできないが、「ランキング1位のまま卒業したい」と意気込み、足が治ったら55mを目指す。一方、円盤投にはこの秋も出場予定。「世古さんが7月に47m93を投げたので、ライバル意識を持ってもらえるように頑張りたい」と笑った。

文/石井安里 写真/宮原和也

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