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2024-07-31

【陸上】インターハイ・男子100mで東海大仰星高の西岡尚輝が優勝 準決勝では10秒11(+1.2)の大会新で高校歴代2位

西岡は準決勝で高校歴代2位となる10秒11(+1.2)をマークして大会記録を樹立(写真/黒崎雅久)

7月28日より福岡県博多の森陸上競技場で行われているインターハイの陸上競技。大会2日目に行われた男子100m。今夏高校スプリント最速の称号は、10秒26(-1.5)で西岡尚輝(東海大仰星高3年・大阪)に輝いた。準決勝では大会記録10秒19を大きく更新する10秒11をマーク。大会史上最速の称号も手に入れた。

準決勝で桐生祥秀(現・日本生命)の持つ大会記録を更新

衝撃的な走りは準決勝2組5レーンから生まれた。予選を10秒38(-0.8)で走り、この日のコンディションを確認した西岡は、磨いてきた得意のスタートをいつもどおりに決めて、加速局面からピッチを快速回転。1.2mの追い風を次々と追い越しながら疾走し、「10.11」で止めたタイマーを左に流し見て、会場のどよめきを浴びながら、「よっしゃ」と手をたたいてみせた。

意気揚々と迎えた決勝も抜群のスタートで中盤までに抜け出し、快走。向かい風のなか、10秒26をマークした。1年生で2位に入った清水空跳(星稜・石川)は10秒50。西岡のダントツぶりがその差に表れていた。

近畿大会10秒21、U20日本選手権10秒20と快速タイムを連発してきた西岡だが、大阪大会では準決勝で10秒29をマークしながら、決勝ではアブラハム光オシナチ(東大阪大柏原高3年)に足をすくわれた。予選、準決勝、決勝と1日3本のラウンド戦では「決勝であまりいい動きができないことがあったので」と、西岡は準決勝もある程度出力を抑える想定でいた。

しかし、同組に昨年来しのぎを削ってきたアブラハムがおり、「体力を温存しようと思っていたのですが、アブがいるので気持ちが入ってしまい、最後まで行き切ったのであのタイムが出ました」と西岡。勝てなかったことのあるライバルの存在が高校歴代2位を引き寄せたともいえる。

昨年はインターハイ1週間前に左足首が痛み出し、開催地の北海道に入ってから疲労骨折が判明。無念の棄権を余儀なくされた。練習できない期間、上半身を中心に筋力アップに取り組み、その成果として「腕で体を前に持っていく感覚を得られた」と話す。

加えて、西岡の真骨頂でもあるピッチの速さは、「トラックをキックするとか押すとかではなく、ただただ置くという意識」(西岡)の産物でもあるのだろう。

歴代の高校生スプリンターで西岡の上に君臨するのは、高校記録10秒01を持つ桐生祥秀(現・日本生命)だ。

西岡は言う。「スタートはいつもどおりに落ち着いて、中盤から上体をぶらさず、後半は逃げ切るというレースプランでした。優勝だけでなく大会記録を越したいという気持ちにもなっていたので、桐生さんの高校記録はまだまだ離れていますが、インターハイの記録を越えられたことは自信になっていくと思います。スタートはうまくいっているように見えるのですが、理想と比べると今日の決勝もうまくいっていない部分がありますし、ここで満足してしまったら、この先いい結果を出せないと思っているので、努力を惜しまず頑張っていきたいです」

今はまだ尚早だが、西岡が9秒台に挑戦する日は、きっと来る。そのとき、どんなワクワク感が100mを駆け抜けるのか。10秒11とインターハイ制覇から、西岡の新章が走り出す。

文/中尾義理 写真/黒崎雅久

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