家族が住む宮城に移住するため、10月3日の新宿大会をもってDDTを退団する大石真翔。縁のある相手とのシングル、NωAのラストライブと継承、そしてディーノとのKO-Dタッグ挑戦など、最後の最後まで忙しい日々を送る。そんな大石に話を聞いた。
――引退のようなムードが漂っていますが、そうではないんですよね?
大石 ではないです!。 引退みたいになってますけど(笑)。
――わかりました。この1カ月ほどシングルマッチが続いていますが?
大石 いや、しんどいっすね。しかもちゃんとみんなチャンピオンクラスの人ばっかなんで。青木真也、遠藤哲哉、秋山準、正田壮史、上野(勇希)、勝俣(瞬馬)、みんなチャンピオンクラスと。この1ヶ月で、ほんとに1人でリーグ戦やってみたいな感じで。なかなか、なかったんで。しんどいですけど、楽しいですね。やっぱ元々シングルマッチも好きなんで。なんか、最後に充実させてもらってます。
――ゆかりのある選手との一騎打ちはいかがでしょうか?
大石 やっぱり気持ちいいっすね。お互いの気持ちをぶつけられるんで。やっぱ好きですね、シングルマッチ。楽しいです。僕が13年間、DDTに居て、関係の深い人たちとシングルやらしてもらってるんで。こみこみ上げてくるのあるんですけど、逆に考えが湧かないというか。続いて、忙しいし。うちの(試合以外の)仕事のも、残務処理とか引き継ぎとかもあるので(笑)。もう退団まであと1週間ぐらい。全然実感、湧いてないっすね、忙しすぎて。なんか結構ラストランとかとか やってもらってるんですけどまだあるだろうなと思いながら(笑)。やってもらってあれですけど、なんか本当に最後とは思ってなくて、多分またあるだろうし、みんなと対戦することもまだあるだろうし。とりあえず所属ラストとは言ってはもらってるんですけど。僕としては、しばらくはないかもしれないですけど「またな」みたいな。今度の(男色)ディーノとのシングルなんか特にですけど。とりあえず一区切りですけど、多分今までと同じスパンぐらいであるんだろうなって。
――DDTに上がっていた13年間は改めて振り返ってみていかがでしたか。
大石 いやー楽しかったですね。なんか他の団体にいたら味わえなかったような。アイドルフェスでプロレスしたり。いろんなライブに行って、そのライブをぶち壊しに行ったり、 今考えると結構有名な人と絡んだんですよ。
僕のやりたいことというか、なんて言うんですかね、できる最大限のことを 引き出させてもらったなという感じはしますね。ディーノとか髙木(三四郎)さんとかもそうですけど。僕をこうやって使ったらこんな成果が出るよっていうのを、髙木さんとか見抜いてたのかわかんないですけど、それ引き出してもらったなあと。それでDDT的にもよかっただろうし、僕的にもすごい楽しかったし、やることが。
――DDTに所属したことでプロレスラーとしての幅も広がったでしょうか?
大石 そうですね。試合以外の面でもこう引き出されたというか。ほんとに、それこそバス乗ってとか、それ以外の仕事とかも、こんなことできるんだって。別に自画自賛じゃないですけど、俺がここやったから、多分この計画はうまくいったなと思うことがいっぱいあったりして。それを達成というか、なし遂げたなと思った時、やっぱり自分のスキルも上がっていって。僕の幅も広がった感じですかね。
――プロレスラーとしてだけではなくて人間・大石真翔の幅も広がった。
大石 はい。ほんと、こんなことできるんだ、俺っていうことがいっぱいありました。
――ちょっと難しいかもしれないんですけど、13年間振り返って、DDTで印象的だった出来事は?
大石 いっぱいありますよね。いっぱいありますけど、秋山(準)さんに出会えたことですかね。シングルマッチも計3回させてもらっていて。なんかこれもDDTじゃなきゃできない。DDTのいろんな面のうち、秋山準っていうものに出会えさせてもらったのはDDTならではのことだろうなって。自分で言うのもなんですけど、俺みたいなもんが秋山さんといっぱい試合もさせてもらったし、そばにいさせてもらったっていうのは、 すごいありがたかったです。DDTにいて良かったなと思うことはいっぱいありますけど、秋山さんのそばでプロレスを勉強できたっていうのは、一番嬉しかったことかもしれないですね。
――秋山選手がDDTに参戦されるようになってから組む機会も多かったですよね。
大石 そうですね。準烈もあったし。そこから結構試合することが多かったりもしましたし。結局今一緒にベルトを取ったこともあって。それプラス私生活というか、普段リングを降りてからもすごい仲良くさせてもらって。色々、秋山さんの口から出ることを心にとどめてプロレスしてきましたね。なんか本当、 幅が広がりましたね。秋山さんのおかげで。ありがたいです。
――プロレス界の保守本流である全日本の流れを受けついでいる秋山さんは、やっぱり他のDDTの選手とは異なるものがありますか?
大石 もちろん! だっていないですからね。馬場さんからプロレス教わった人なんて。いろんなある正解の、間違いのないひとつの正解を秋山さんは持ってるんで。それは絶対全員が持つべきとは思わないですけど。でも、そのDDTて、いろんな で、それこそ学プロとか社会人プロレスとか、いろんな団体のいろんな要素が混ざってる中のひとつ馬場イズムじゃないですけど全日本プロレスっていう。それこそ今言った保守本流っていう、間違いのないものを持ち込んでくれた人ですよね。すごい幅広がったと思いますよ。広がるはずのなかった方まで広がってたんで。僕もそれをずっと勉強したいと思ってたんで。それでまさか4年間勉強させてもらったし。たぶん、秋山さんも近くにいる僕を通じて、秋山さんの見たことないDDTのプロレスを見て。噛み砕けないものをなんとかして噛み砕けるようにするのって僕たぶん得意なんですよね(笑)。
――9・29後楽園ではディーノ選手とDDT所属としては最後のシングルがあります。大石選手にとって男色ディーノはどういう存在でしょうか?
大石 ハハハ。ディーノは…友達ですね。あんまりプロレス界にもいないんですけど。DDTに入る前はすごい天才だと思ってたんですよ。もうある種の天才レスラー。非の打ちどころのないレスラーだと思って。DDTに入って一緒に試合するようになったら、意外とポンコツだったんですよ、意外と(笑)。なので、支えてあげなきゃいけないこともあるなあと思ってから仲良くなりました。みんなそうだと思うんですよ、男色ディーノっていうのを。マッスル坂井さんだったり。 意外と「こいつポンコツ」だなと思えてから、すごくもっと好きになりました。ディーノのやりたいことを実現したいって思わせる人です。結構突拍子もないこと考えるんで。「この技考えて、こういうことしたいんだけどできるかな?」て言って。 それをなるべく完成形に、あいつの理想に近い形で。だから下請けですよね(笑)。なんか色々実現させたり。それをさせたくなるやつなんで、そういう面ではやっぱいい友達だと思ってます。DDTはあんまりいない。キャリアも同じぐらいだし、年も同じぐらいだし。
――わかりました。DDT所属ラストの10・3新宿大会ではディーノ選手と組んで勝俣瞬馬&MAO選手の持つKO‐Dタッグに挑戦します。
大石 僕もうっかり忘れてたんですけど、男色&大石、挑戦何回かしてるんですけど、結局取れなかったしで、だからチャンスを伺ってたところはありますね。それが最後の日になったっていうだけで。でもベルトさえ取ってしまえば、レギュラーでDDTは私を呼ばざるを得なくなるので。僕が仙台に行っても交通費払って呼んでもらいます
――王者組は「弟子」のしゅんまおです。
大石 そうですよね。ギリギリまでシャーデンかなと思ってたんですけど。あの2人は 結構長い間一緒にいて。本当に最初は申し訳ないなと思いながらアイドルやっていて。でもなんかおこがましいですけど、アイドルグループやってるうちは、僕の教えられるところがあるなら教えられたら、少しでもなんかの糧になればと思って。結構うるさく言ってきて。よくついてきてくれたなと。本心で あの子たちがどう思ってるかわかんないですけど、でもね「師匠師匠」って言ってくれるんで、そのでかい壁になってやろうかなと。
お前らが挑戦してこいぐらいの気持ちで受けて立とうと思ってます。気づいたら立派なチャンピオンになってたんで 嬉しいです。
――「師匠を介錯するのも弟子の役目」という言葉も出ていますが。
大石 できるもんならしてみろよって感じです。まだまだプロレスはやるつもりで。やめるつもりはないんで。まだね、話の途中だよっていう。介錯なんかできるのならしてみろっていう感じです。
――退団後の宮城での生活で思い描いてることなどありますか?
大石 今決まっていることは何もないんですよね。本当になんか呼ばれたら出るし。向こうで、それこそバスの運転手やってもいいし。仕事があればなんでもしますって感じですね。なんか色々考えてることはあるんですけど、それはおいおい(笑)。それを実現させるために色々頑張っていこうかなと。まだまだ45だと思ってるんで。ここかたできることはまだいっぱいあると思うんで家族を幸せにするために頑張っていこうかなと。斉藤ブラザーズともせっかく宮城なんで。TAXI飯もあるし。本当に一緒にご飯とか食べ行きたいですね。美味しいごはん屋さんに、まこりん飯を色々連れていってあげたいなと(笑)。スピンオフで。いっぱい食うんだよな~あいつら。頑張って稼ぎます。家族と斉藤ブラザーズに飯を食わせるために。