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2024-10-08

【連載 泣き笑いどすこい劇場】第27回「その気持ち、分かります」その1

朝赤龍に寄り切られ、悔しさを必死にこらえる高見盛

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いやあ、その気持ち、よく分かるよ、と肩の一つも叩きたくなるような、納得がいく話でも紹介しましょうか。
勝負をしているワケですから、土俵の周りは不本意なことだらけです。
時には、ワナワナと怒り狂い、あるいは喜び過ぎて脱線することも。
でも、そうなるには、ちゃんと理由が。
そんな人間の心のひだをつまびらかにするような面白エピソードを。
※月刊『相撲』平成22年11月号から連載された「泣き笑いどすこい劇場」を一部編集。毎週火曜日に公開します。

危ない!

勝負を終えて支度部屋に戻ってきた力士たちは、まず風呂に入る。風呂場で冷静さを取り戻し、体のあちこちについた砂や、時には負けた悔しさを洗い流すのだ。

平成19(2007)年夏場所9日目、東前頭7枚目の高見盛(現東関親方)は西前頭8枚目の朝赤龍(現高砂親方)に寄り切られ、3敗目を喫した。相撲は朝赤龍の一方的な相撲で、けっして顔が腫れたり、血が吹き出たりするような激しいものではなかった。ところが、風呂を出てきた高見盛の顔は唇の下の辺りから血がしたたり落ち、アゴにかけて真っ赤。

「どうしたの」

と驚いて声を掛けた報道陣に、高見盛は憮然とした表情でこう答えた。

「負けてムカついていたから、風呂場でヒゲを剃ったら、切っちゃったんですよ」

せめてヒゲでも剃って気分転換したい気持ちはとてもよく分かる。でも、もともと高見盛は不器用。まして土俵を降りたばかりでまだ興奮状態のときにカミソリを持つのは、とても危険だ。高見盛のみならず、力士のみなさん、負けたときに風呂場でヒゲを剃るのは止めましょう。

月刊『相撲』平成25年1月号掲載

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