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2025-02-09

【NFL】スーパーボウル3連覇が達成された場合でも「それは初めてではない」?

前人未到のスーパーボウル3連覇に挑む、チーフスQBマホームズとアンディ・リードHC=Photo by Getty Images

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第59回スーパーボウルは、現地2月9日(日本時間10日)にルイジアナ州ニューオーリンズで間もなくキックオフとなる。今年は、フィラデルフィア・イーグルス対カンザスシティー・チーフスの顔合わせ。AFCのチーフスは3年連続年ぶり7回目、NFCのイーグルスは2年ぶり5回目のスーパーボウル進出となった。


チーフスは前人未到のスーパーボウル3連覇を目指す。一方のイーグルスは7年ぶり2回目の制覇を狙う。両チームは2年前の第57回スーパーボウルでも対戦し、チーフスが38-35で勝利している。

チーフスがイーグルスを破ってスーパーボウル3連覇を達成した場合でも、「それは史上初ではない。3年連続NFL王者は、過去に2回達成された」と主張するオールドファンは少なからずいるだろう。

グリンベイ・パッカーズは、1929~1931年と、1965~1967にかけて2回、NFL3連覇を達成したというのだ。

留意したいのは、後者の1965~67年にかけてのパッカーズの業績だ。というのは、1966年シーズンに、老舗のNFLと、新興リーグのAFLが、統一王者を決める戦いとして始まったのが、スーパーボウルだからだ。つまり、3連覇のうち、2年目と3年目はスーパーボウル勝利として、認定されている。試合開催の当時は、NFL-AFLチャンピンシップと呼称されていたが、両リーグが合併して、王座決定戦がスーパーボウルとなってから、第1回、第2回も遡ってスーパーボウルと認定されるようになった。


仮に、NFL-AFLチャンピオンシップがもう1年早く、1965年シーズンから始まっていたら、という着眼点はある。

1965年のAFL王者はバッファロー・ビルズ。パッカーズがビルズと対戦していた場合、相当な確率でパッカーズが勝利していた可能性が高い。となると、パッカーズはスーパーボウルの最初に3連覇する機会を逸したことになる。

しかし、それなら、NFLとAFLの王者決定戦開催を阻害していたものは何だったかと言えば、それはNFLの上から目線に他ならなかった。
「AFLはマイナーリーグ」
「NFLと対等なレベルで戦える存在ではない」
「弱小リーグは相手にしない」
という蔑視があった。その優越的思考の中心に居たのが、当時の絶対王者グリンベイ・パッカーズであり、ヘッドコーチのビンス・ロンバルディだった。

写真家のタック牧田さんは、ロンバルディが好んで口にしていた「Winning isn't everything; it's the only thing」というセリフを、NFL-AFL選手権の後で聞いたという。

それは、強者NFLが、弱者AFLを叩き潰した後、傲然と言い放ったものだった。牧田さん自身も若かったので、そのセリフを言える強さに感動したとも話していた。

ちなみに、NFL-AFL選手権は、日本人だった牧田さんでも取材ができる、ある意味で「おまけの試合」という側面もあった。しかし、パッカーズ連覇の後、1968年シーズン第3回スーパーボウルの奇跡的なジェッツの勝利で、一気にメジャー化した。そのため、牧田さんは第4回、第5回には取材申請が撥ねられて参加できなかったことが痛恨だったと語っている。

【小座野容斉】

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