5月18日に水口侑子さんと入籍した川内優輝選手。2人が出会ったのが2008年のニューカレドニア・モービル国際マラソンです。今年、11年ぶりに2人揃って「天国に一番近い島」を訪れます。結婚披露宴を前にインタビューに応じてくれた川内選手が、ニューカレドニア国際マラソンの魅力を4回に渡って語ってくれます。3回目は、海外マラソンで快走するポイントとなるコンディショニングについてです。
構成/ランニングマガジン・クリール編集部 写真/AQUA、ニューカレドニア国際マラソン事務局
写真上 昨年のスタートラインの様子。万全な体調でスタートラインに並べるように、コンディションを整えよう 写真:ニューカレドニア国際マラソン事務局
ニューカレドニアの場合は、北米やヨーロッパのレースと異なり、時差が2時間しかありませんから、時差調整で苦労することはありません。
ニューカレドニアへの足となるエアカランは、深夜の到着になります。23時ごろに着陸するので、入国審査などを終えて、バスに乗り、ホテルに着くのは午前1時を回ると思っていたほうがいいでしょう。もちろん、ベッドに入るのはそれからになります。
ニューカレドニアまでの飛行時間は8時間30分ほど。私は長距離の移動では、2〜3時間に1回は、必ず席を立ってトイレに行くようにしています。座ってばかりいると血流が滞り、最悪の場合、エコノミー症候群になってしまいます。
タイムを求めていないのであれば、給水所では立ち止まって、しっかりと給水しよう。 写真:ニューカレドニア国際マラソン事務局
トイレに立つだけで体を動かすことができますし、トイレを待っている間に屈伸をしたり、アキレス腱を伸ばしたりするだけで、血流が改善されます。
水分を多めにとると、トイレに立つ回数が増えるだけでなく、血液がドロドロになるのを防いでくれます。トイレに立つのが嫌だから、水分をできるだけとらないようにしているという方もいるようですが、ランナーの場合には、それはオススメできません。
何回もトイレに立って、老廃物を流すようにしましょう。私はお酒をあまり飲みませんが、弟はお酒を飲んだら、お酒の倍の水を飲むようにしているそうです。お酒好きの人にはオススメの方法です。飛行機の中で、多少水分をとりすぎたとしても、心配しなくて大丈夫です。現地についてから少し汗をかけば、余計な水分は簡単に抜けていきます。
フルマラソンに参加する選手は誰でも、スペシャルドリンクを置けるのが、この大会の特徴の1つ。右から2つめ、コバトンのシールが貼ってある黒いいキャップのドリンクが川内選手のもの。目立つように工夫しよう。 写真:ニューカレドニア国際マラソン事務局
コンディションを整えるために行っていることがあと2つあります。1つは、コンプレッションタイツを履くこと。もう1つが低周波治療器を使うことです。
コンプレッションタイツは、ご存知のように血流の改善に効果があります。低周波治療器は、長距離移動の際には、普段できないような部位をほぐすことができます。映画を見たり、本を読んだりしている間に、筋肉を整えることができます。時間はたっぷりあるので、脚をやったら腰、腰が終わったら肩というように、普段はあまりやらない部位までほぐすことができます。
マラソンを走る際に、エネルギーとなる炭水化物(カーボ)を事前に溜め込む、カーボローディングは大切です。私は世界のどこにいてもレースの前日には、カレーを食べるようにしています。ニューカレドニアでカレーショップを見つけることができなかったのですが、中華料理店にカレーがあり、昨年はその店で食べることができました。
レース前日のお昼にパスタパーティがあるが、フルマラソンを走るなら夕食でも十分に炭水化物をとっておきたい 写真:ニューカレドニア国際マラソン事務局
大会前日の午後には、パスタパーティーがありますが、それだけでは足りないと思います。事前に自分の嗜好に合ったレストランを探しておくといいでしょう。
参加人数があまり多くないので、フルマラソンに参加する全ランナーがスペシャルドリンクを置けます。前日の15時までに受付会場に持っていきます。しかし、日本のエリートの大会のようにテーブルが分かれているわけでないので、見つけにくいのです。立ち止まって給水する方はゆっくり探せばいいのですが、走りながら取りたい方は、目立つような装飾してください。
万全な体調でスタートラインに立つことができれば、この素敵なシーサイドコースを楽しむことができます。いい体調で臨めばダメージが少ないので、レースの後の観光も満喫できますよ。
フルマラソンに参加するランナーで、自分のドリンクをおきたい人は、土曜日の11時から15時の間に、受付会場にドリンクを届ける 写真:ニューカレドニア国際マラソン事務局