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2020-09-18

月々の電気料金で子どもたちの野球活動を支援!「アルプス電気」

道具代や活動費など、少なくない費用が発生し、それが競技継続のネックとなることがある野球。競技人口が減少する中でその課題を解消すべく、月々の電気料金から寄付を募り、子どもたちの野球活動を支援する「アルプス電気」が始動した。その取り組みを紹介する。

野球をやりたくても続けられない子どもを救う取り組み

 日本高野連が発表した2020年度の「加盟校部員数」調査の結果によると、硬式の部員数は6年連続での減少となった。ピークだった17年の17万312人と比べると、約20㌫減の13万8054人に。野球人口の減少が深刻化している。

 子どもたちの野球離れの原因の一つに挙げられるのが、家庭の経済状況だ。グラブ、バット、スパイク、ユニフォームなどの道具代に加えて、部費、遠征費、合宿費などチームに納める費用が発生すると、月々、少なくない出費がかかる。家計がその負担に耐えられず、「野球がやりたくても、続けられない」状況に陥ってしまう子どもは多い。例えば、平成28年度(2016年)の厚生労働省の調査によると、児童のいる世帯の平均年間収入は707万円ほどだが、123万世帯ある母子世帯の平均年間収入は約243万円、18万世帯ある父子世帯は420万円と、大きな格差が生じている。母子世帯では年間就労収入が100~200万円の世帯が35.8㌫と最も多く、400万円以上の就労収入があるのは10㌫に満たない。こうした世帯にとって、子どもの野球に十分な費用をかけるのは負担があまりにも大きい。

 そのような子どもたちの野球活動を支えようと、株式会社キンクドテールが打ち出したのが、月々の電気代の一部を野球道具に換えて、家庭や団体(少年野球チーム)に寄付する支援策だ。

 日常的に電気を使用する施設、企業、一般家庭などが、リエゾンエナジー社が電力を供給する「アルプス電気」に加入すると、月々の電気代の一部が寄付金として積み立てられ、それで購入した野球道具を寄付する仕組み。野球を「始めたい、続けたい」と願う子どもたちに、永続的に手を差し伸べ続けるため、誰もが日々利用するインフラである電力を活用するに至った。

 また、野球をする子どもたちを「応援したい、支援したい」という気持ちから甲子園のアルプススタンドをイメージしたのが「アルプス電気」の名前の由来だ。

 今後は、特に小中学生の子どもを抱えるシングル世帯を中心に支援を実施していく予定で、一般財団法人東京都ひとり親家庭福祉協議会、NPO法人ベースボール・レジェンド・ファウンデーションを通じて、寄付の応募を受け付けていく。

「アルプス電気」で月々の電気料金の一部を子どもたちの野球道具に(写真/Getty Images)

「アルプス電気」
https://alpsdenki.com/
・原則、アルプス電気への変更に伴い、各地域を管轄する大手電力会社の電気料金単価を上回ることはありません。
・高圧をご利用のお客様には個別に御見積をご提示します。

〈発起人PROFILE〉
小柳 崇(こやなぎ・たかし)
◆球歴
新発田中央高-東京農業大生物産業学部-JT
大学時代は日本選手権ベスト16。JTの野球部廃部とともに現役を引退。その後は社業に専念しながら、鶴岡東高(山形)の外部コーチを務めるほか、母校を含め、多くの学生野球チームにの指導に携わっている。

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