
川島 ただ、そのスペイン人のコーチが言うには、「スカウトがどういう子を探しに行くかというと、ドリブルができるテクニシャン」とのことでした。「小さい頃は、全員抜けるのであれば、ドリブルで行けと指示するコーチは多い」とも話していました。
川島 失敗を積み上げる過程を経て成功にたどりつくことしかないと思います。失敗を積み上げた先にしか成功はありません。そう考えると、子供の頃の早い時期にたくさんの失敗を経験しておいたほうが良いのです。
ジュニアやジュニアユースの年代で「失敗しないように」という指導をしてしまうと、積み上げた先までたどりつくことはできません。例えば、ジュニアの時期に、突破を100回仕掛けた選手と1000回仕掛けた選手とでは、失敗の積み上げが違います。状況を見てパスをするのももちろん大切ですが、あえてドリブルで仕掛けて奪われることによって、「次はどうすればいいんだろう?」と考えるのが大事なわけです。特長を持つ選手を育てるためにも、その本質を外してはいけないと思います。

川島和彦(かわしま・かずひこ)
1967年生まれ、千葉県出身。JSCCHIBA代表兼U-12監督。17歳のときにJSC CHIBAの前身である院内サッカー少年団で指導を始めた。独自のメソッドを日本各地で展開し、2017年からは中国でも指導。日本サッカー協会公認C級コーチ。「差がつく練習法 サッカー 個を強くするドリブル練習」、「サッカー 選手の潜在能力を引き出すトータル育成メニュー」(小社刊)など、著書多数
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